通常表示に戻る

空白・改行を保持して表示します。横にスクロールできます。

ミケノビッチは,とても好奇心旺盛な青年だった。
飛行機に乗って,イタリア旅行に出かけることになった彼は,機内食を夢中で食べ,ワインをいささかやりすぎてしまった結果,トイレに立つ必要が生じたのである。
ところが,紳士用トイレには「故障」との札がさげられており,彼は,スチュワーデスさんに婦人用トイレを使ってよいか尋ねた。
「もちろん結構ですわ」スチュワーデスさんが言った。
「しかし,WWと書いたボタン,それにPPと書いたボタン,TPと書いたボタンは決して押してはいけません。
 それさえ注意していただければ,ご自由にお使い下さって結構です」

ミケノビッチは,もちろん約束した。
しかし,なすべきことを終えたミケノビッチは,持ち前の好奇心がムクムクと頭をもたげて来たのだ。
おそるおそる,彼はWWと書いてあるボタンを押してみた。
すると,温かいお湯がオシリを洗ってくれ,きわめて快適であった。

これに力を得たミケノビッチは,PPと書いてあるボタンを押してみた。
すると,やわらかいパフが出てきて,やさしくオシリをたたいて,天花粉をまぶしてくれたのであった。
青年は,いっそう大胆になった。
そしてためらうことなく,TPボタンを押した。

気がつくと,彼は明るい病室にいた。
ベットの脇には看護婦さんが心配そうに彼をのぞき込んでいた。
「いったい,ボクはどうしたんです?」
めまいを覚えながら,ミケノビッチは尋ねた。
「あなたは,WWボタンを押したでしょう?」
看護婦さんはやさしく言った。
「うん」
「PPボタンも押したわね?」
「はい」
「そして,最後にTPボタンもお押しになったわね?」
ミケノビッチは,いらいらして,大きな声で言った。
「まさしくその通りですが,どうしてそんなことを聞くのですか?」
「TPというのは,自動生理用品除去装置のことなのよ。ですから,あなたの・・・は,枕の横のシャーレに置いてありますわ」