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大学生になって2年間も彼女が出来ない時点でおかしいと思っていた。
両親が遂に行動に出たのはそんな大学2回生の正月だった。
彼女はできた?いや。というやり取りで数えると5回目の応答の後、両親は戸惑う僕を精神科へと連れていったのだ。
その結果がこの残酷な現実だ。
「これは典型的な男子校症候群ですね」医者はそう言っていた。
キッチンで泣き崩れる母親と、それをなだめる父親の姿を、僕は先程から呆然と眺めていた。
両親に対する同情だとか、自分に対する哀れみみたいな感情は不思議と湧いてこない。
ただ、この記憶も明日になればなくなるのだと思うと少し切ない。
明日になれば僕は、この情景と、男子高生活に伴なう全ての記憶を抹消され、
共学の高校を卒業したことになる。
つまり、僕の高校時代の行動は、男子校の中で起こったことではなく、
共学の高校で起こったことになるのだ。
休み時間にひたすら大富豪ばかりして金をむしり取られたとき、
周りには女子学生がいた事になるし、音楽の作曲(DTM)の授業で、
僕が音声付きでしこしことmidiにしていた「きんたの大冒険」を、
「じゃあ出来た人の曲を流してみましょう」という先生の一声で、勝手にみんなの前で
流されたときも周りには女子学生がいたことになるのだ。
それが自分にとっていいことなのか悪いことなのか、20歳の僕には判別出来なかったが、
少なくとも両親はいいことだと思っているようであった。
手術の日程も全て両親が勝手に決めてしまった。僕に相談が来ることはついぞなかった。
手術が終わってからもう3年が経つ。彼女は未だ出来る気配がない。
医者は言った。「これは典型的な理学部症候群ですね。」