通常表示に戻る
空白・改行を保持して表示します。横にスクロールできます。
403 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/11(火) 21:57:50.89 ID:c2xu6/vz0
今の自分を表現するなら、地に落ちた小説家、だろうか。要するにクズだ。
当たったのはデビュー作だけで、それ以降が続かない。
作家としての力はとっくに枯れ果てていた。
もちろん筆だけで食っていけるはずもなく、今では妻にも働いてもらう始末。
なんて情けない。僕はいつまでこんな生活続けるんだ。
書斎で一人打ちひしがれていると、キッチンの方から妻がやってきた。
「あなた、棚の奥から高そうなワインが出てきたの。仕事中だけど、ちょっとどうかしら」
「ごめん今は少し集中したいんだ。それに君にだって先にやることがあるだろう?」
僕は背中を向け、止まっていた手を動かし始めた。
罪悪感から、まともに妻の顔を見ることが出来ない。
「なによ、ちょっとぐらいいいじゃない。あとで欲しくなってもあげませんからね」
去っていく妻の足音を聞いていると急に涙がこぼれそうになった。
僕は最低な男だ。こんな惨めな人生に、あろうことか彼女まで巻き込んで……。
けど彼女は決して僕を責めなかった。
それどころか、こういう生活も慣れたら楽しいものだ、と笑って見せた。
もうあんな悲しい台詞言わせやしない。
今度こそ一発でかいのを当てて、新しい人生を始めるんだ!
数分後、再び妻が顔を覗かせた。
「めぼしい物はだいたい集めたけど、そっちはどう?」
「あぁ、ちょうど片付いたところだよ。今回は当たりだといいけど」
カチャリ、と僕は金庫を開けた。