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共働き世帯率を県別に出し,乳幼児(0~2歳)の虐待被害率との相関をとってみました。下図は相関図です。

共働き世帯率が高い(低い)県ほど,乳幼児の虐待被害率が低い(高い)という,負の相関関係が観察されます。
相関係数は-0.478であり,1%水準で有意な相関です。

共働き世帯率は,他の年齢層の虐待被害率とも負の相関関係にあります。
幼児の被害率とは-0.408,小学生の被害率とは-0.448,中学生の被害率とは-0.465,という相関です。

この結果の解釈については,一方の親(多くは母親)が一人家にこもって子育てをしている家庭が多い県ほど,虐待が起こりやすい。
このような見方をとろうと思います。

むろん,専業主婦は昔からいました。しかし,祖父母など,夫婦と子以外の同居親族を持たない核家族が多くなり,
地域の絆も脆弱になっている今日,母親が育児を一手に担うことの負担(リスク)は,以前よりも高まっているというべきでしょう。

孤軍奮闘という不利な条件にある一方で,子育ての結果に対する要求水準は高い。それが現代の親です。
少なく産んで大事に育てるというのが,今の親の考え方。
たとえば,一人っ子家庭の親には,「パーフェクト・チャイルド願望」なるものが蔓延しているそうですが,
こうした高い要求水準と,現実の条件からもたらされる結果との間にはギャップがあることがしばしばであり,
そのことに由来する焦りや苛立ちが,虐待発生の素地をなしている,といえないでしょうか。

家庭という枠を超えた,近隣レベルでの育児の「組織化」の必要がいわれますが,
共働きと虐待の関連の統計を眺めた今,そのような見解に賛意を表します。

夫婦の共働きは,育児に手が回りにくくなる点で,ネグレクトなどにつながるという見方もあります。
いや,こちらのほうが常識的な解釈でしょう。
共働き世帯率と虐待被害率は正の相関関係にあると,多くの人が考えていることと思います。
しかるに,県レベルのマクロ統計からは,逆の知見が得られたことを申しておきたいと思います。