504 :名無しさん@HOME :sage :2010/03/13(土) 09:45:46 0
凄く後味悪いかもしれないけど。
結婚した頃、ウトメは結構年を取っていたので同居。
ウトは空気のような人でしたが、トメは気性の荒い人でした。
テンプレトメって感じで、作った食事は捨てられる、コキ使われる毎日。
夫は忙しい人で、そんな事気づきもしませんでした。
結婚2年目、体調を崩したウトはそのままアボーン。
その後からトメの様子は少しずつ変わりました。
トメは、ウトを亡くしてから仏壇の前でボーっとするばかり。
お葬式がすんで、49日がすんで暫くたったら、トメはどんよりとした目で
「くまちゃんはどこ?」
って私に聞いてきました。
「は?」って思いましたよ。
熊のぬいぐるみなんて我が家にはないし、それらしいのもない。
けど、トメは狂ったように泣き出して「くまちゃんくまちゃん」って言う。
慌てて忙しい夫を捕まえ、わけが判らないと事情を話すと夫は「あっ!」と思い出してくれました。
くまちゃんとは、ウトの名前。
ウトの名前、確かに「くま」って付いてました。
トメは戦中生まれで、当時はまだ少し珍しかった恋愛結婚でした。
年上のくまちゃんに憧れ、くまちゃんと結婚したくて頑張り、くまちゃんとやっと結婚できた人生でした。
結婚後は、くまちゃんってあまり呼ばなかったらしいのですが、夫の前では間違えて
「くまちゃん・・・じゃなかった、貴方。」
って呼び直して、バレてしまったようです。
505 :504 :sage :2010/03/13(土) 09:46:29 0
トメは、スッカリ少女のように「くまちゃんまだ?」「くまちゃんいない?」と繰り返します。
慌てて病院へつれていったら、認知症ではないにせよ、老人性の鬱病と同じ症状と言われました。
脳の萎縮はないが、老人性のボケで現実逃避、様子を見ればそのうちよくなると。
それから、トメは少女のように振舞う毎日でした。
私はスッピンの時、トメから「キクちゃん」と呼ばれました。(恐らく幼馴染)
化粧すると、「オカカ」って呼ばれました。(多分、お母さん?)
しかしやっぱり少女とは言え、老人。
リビングで粗相をしてしまったりし、そのたんびにトメはオロオロとし、そのうちウエーンと泣き始めます。
私は、別に嫌でもなくなってたので、トメをあやしながら片付ける毎日でした。
こうなると、トメは私の食事に文句も言わなくなりました。
いつもはけなされた料理も、「美味しい美味しい」って食べました。
「キクちゃんはお料理上手ね良いなあ。良い嫁さんになるよ。」って言われる時もあれば、
「オカカ、お味噌汁今度教えて。」って言われる時も。
トメに「くまちゃんってどういう子?」って聞くと、本当に恥ずかしそうに答えました。
見ると本当に恋愛をしてる、小学生のようなリアクションでした。
そのしぐさに、私はトメが憎らしかったのを忘れてしまいました、本当に。
そのトメは、先週亡くなりました。
最後は寝たきりになってしまいましたが、ベッドの上でくまちゃんの幻と何度も遊んでいました。
勿論その最中に私が入ると、
「キクちゃん恥ずかしいからイヤー」
って布団に潜り込んでしまいまいました。
最期は、寝たまま逝っちゃったけど、くまちゃんが迎えに来たのでしょうか?
506 :504 :sage :2010/03/13(土) 09:47:10 0
所で私はこの少女時代のトメの世話をしてるさなかに、凄く大きいDQN行為をしてしまいました。
トメ、実はボケた初期には正気に戻りかける時があったんです。
凄くあの嫌な顔で「嫁さん!ちょっと嫁さん!」って怒鳴る時がありました。
しかし、私はあえてそれを無視しました。
「嫁さんー嫁さん・・・」って泣き声になっても、無視しました。
暫く時間がたって、「キクちゃん?」って声が聞こえたら返事をする。
若しくは、「オカカ」って言ったら「どうしたの?」って優しく声をかける。
そんな事を、半年以上繰り返したらトメは完全にボケてしまいました。
医者の「こうすれば良くなる」って言う方法も、全部やってなく、逆の事ばかりしてしまっていました。
元に戻ると言う手段を私は潰しちゃったんです。
人の人生を・・・って思って後悔してしまう時もありました。
でも、いびられるより少女の方が介護しやすいと自分をごまかしたことも。
しかし、正気に戻れば介護の必要もそもそもなかったんですよね。
今は、少しだけ反省しながらお骨に手を合わせています。
けど、心の中では手をあわせながら少女のトメに話しかけています。