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255 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/03/12(土) 22:44:25.94 ID:vMZuxmwz
大阪夏の陣のこと。

徳川家の軍監、横田甚右衛門尉尹松(ただとし)はある日眠りが深くつい寝坊し、
軍監の職務である陣営巡検の時刻を過ごしてしまった。
大急ぎでその場に行くが、当然、もう巡検は終わっている。
同僚のものは「横田殿、どうして今日はあんなに遅参されたのか?」と問うたが、横田

「い、いやいや、拙者今朝は浜辺のほうが気になって、そちらの方を
巡検したのです。そのためこちらに来るのがこのように遅れてしまいました。」

と、つい嘘をついて誤魔化してしまった。
しかし同僚たちもその説明に納得し、疑うものも居なかった。

さて、大坂の陣が終わる。

徳川家康のもと旗本たちの武功の論考をする会議が開かれ、その場には軍監である
横田甚右衛門も当然呼ばれた。

ところが、この席で思いつめたような顔をしていた横田は、突然その場の皆に向かって
叫んだ

「せ、拙者は!大坂の役の過日、寝坊し巡検の時刻に遅れました!
しかしその場で本当のことを言うことが出来ず、浜辺の方に巡検に行ったため
遅刻したと、誤魔化してしまいました。
そんな卑怯な私が今この、重要な会議である論功の場にいること大いに恥じております。」

そして家康の方に向かって土下座し

「どうか、どうか拙者を、軍監のお役目から解任してください!!」

その席、会議を前に静まりかえる。

これを聞いた家康、声をかけた。

「甚右衛門よ、わしはな、お前がそんなふうに正直であることを知っているから、
この席に呼んだのだ。

さあ、堂々と会議に加わるが良い。」


この言葉に甚右衛門は咽び泣いた。
そして会議の席に加わった、と言う。


横田甚右衛門尉尹松の嘘と正直、と言うお話。