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森の中にある小屋に住み猟師をやっている男がいた。時々危険な獣に襲われることもあったが、少し離れた村に住む家族を想えばやりがいのある仕事だった。
ある日男は森の中で古い祠を見つけた。ものは試しとお供えをすると、突然目の前に神を名乗る人物が現れた。
「これはこれは、久しぶりの参拝者だ。どれ、気分が良いから私にできることなら何でも叶えてあげよう。
いや、しかしあまり連続で頼まれても困るな。一年に一回、お供えと願いを引き替えにしようか」
「はあ、そう言われても・・・」
「何でも言ってごらん。例えば、空を飛んでみたいというのでも叶えられる。それとも美人の妻が欲しいかな」
「妻はもういます。特にないので、今はとりあえず平和に暮らせればいいです」
「本当にそんなことでいいのかい?」
「はい」
「無欲だね。しかし、気に入った。では来年また会おう」
そう残して神は消えた。
翌年、あれは夢だったのかもと思いつつも、約束通り男は祠に供え物をした。
「やあ、では今年の願いを聞こうか」
「わあ。本物だったんですね」
「もちろんさ。それで?」
「ううん、半信半疑だったので何も考えてませんでした。今年も同じで良いです」
「そうか。ふむ。ではまた」
更に翌年。去年のお供えで夢ではなかったと分かったので、男はちゃんとした願いを考えてきた。
「さて今年こそは叶えがいのある願いが欲しいな」
「確か、空も飛べると言いましたね。今年はそれをお願いできますか」
「ああいいだろう。今日一日楽しみ給え」
すぐに男の身体が浮いた。頭に思い描いた通りの軌跡を描いて空を飛べる。
男はその感覚をすっかり暗くなるまで楽しんだ。再び地に降りた男が言う。
「これは、今までずいぶんともったいないことをしていたみたいだ。こんな素晴らしい機会を無駄にしていたなんて」
「ははは、喜んでもらえて私も嬉しいよ。それでは」
神は姿を消し、男は森の小屋へと帰った。来年は何をお願いしようか楽しく考えながら。
しかし、数日もせずに男は怯えて引きこもってしまった。