通常表示に戻る

空白・改行を保持して表示します。横にスクロールできます。

■ドラクエ2 太陽の紋章の場所

俺は昔、故郷の小さな町にある英会話塾に通っていた。

カナダ出身の先生は、この街で日本人の女性と結婚して、小さな英会話塾をやっていた。

塾生は田舎の放埓な生徒児童であり、また先生の生来の自由な感覚もありなんとものんびりとした塾だった。

英会話塾の会場は町にある民家を貸室に改造した建物の二階の一室で、一階は大人が麻雀のたまり場として使用していた。

若干雰囲気がダークなところで、小中と通った俺は密かな中二心を抱いていた。

会場は何回か変遷したけれども、どこで契約したのか全く分からない謎の建物の一室を借りていることが多かった。

日常的に使わなくなった民家の一室であることが多かったように思う。

ある時部屋に入ると、先生がゲームボーイをしていた。

正確に言うとゲームボーイポケットを起動していた。

英語で挨拶howareyou? fine.and you? nottoobad!

続けて問う。

「何のゲームやってるんですか?」

「ドラクエ2」

俺はファミコンでやったことがあるので、その旨を話す。もちろん日本語だ。


「一つ質問がある」

「なんですか?」

「太陽の紋章の場所がわからない」

ファミコンやゲームボーイ版のドラクエ2をやったことある人はご存じだと思うが、太陽の紋章は他の紋章と比べてヒントが少ない。実際アホみたいなところにある。

太陽の神殿をくまなく探さなくてはならない。後のリメイクではヒントが増やされた箇所だ。

俺も弟と一緒に太陽の神殿を一歩ずつ歩いて探して、ついに「あの場所」を見つけた。

先生に紋章のありかを教える。

先生はお礼を述べて、授業に入っていった。

俺はこの時初めて、なにか国際的な感覚を得た。

先生は外国人だし、教え・教わる立場にあったから、無意識のうちに心理的な障壁を持っていたと思う。

太陽の紋章はそれを取り払った。

外国の人でもゲームをやるし、俺と同じ所で迷うのだ。

そして、普段教わる人にも、何か自分が教えることがあるのだ(自分が教える側にたったら逆のことがまた言えるかもしれない)。

この2点がどっと心の裡に流れ込んできた。

いまでも、異文化にある人と接する時に思い出す。

ちょっと変な例えだし極端な話かもしれないけれど、この経験があったから変なネトウヨみたな感じにならならないで済んだのかも、と思う。

英会話も習ったけど、他にもいい経験ができた塾だった。

そしてありがとう太陽の紋章の場所。