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女は喫茶店でウエイトレスとして働いていた。

そこに奇妙な客がいることに気が付く。最近何も注文しないでずっと座る男がしょっちゅう居ることに…。
たまに一番安いドリンクを注文することはあった。

女は何故か段々、男が気になりはじめた。

話してみると奇妙な事に名前すらない男だった。

「僕は何もない男なんだよ」

男の言う通り何もない男だった。女はますます興味を持つ。

『だって何もないってことは、何者にもなり得るじゃない?』

女は男に先ず優しさを教えた。
男はスポンジが水を吸収するみたいに理解していった。

女は生活の中で喜怒哀楽も教え、男はよく働き、いい彼氏になった。

しかし、いつしか女は余りに素直な彼氏に不満を覚える。

『意地悪してみようかな』

女は男の前で他の男といちゃついてみた。

案の定男はキョトンとしてただ眺めてる。だから女は嫉妬すること、して欲しい事を教えた。

何もなかった男は女との生活の中で理想の彼氏になっていった。

ある日、女は重大なことを教え忘れてた事に気付く。それは『愛』だ。しかし、その定義が難しい。

女はありったけの知識で男に『愛』を教えようとした時、男は女の言葉を遮り言った。

「愛なら知ってるよ」





一方その頃、もう一人の何もない男は出会った女に

『不可能なんかない』

と教えられ、自由に空を飛び、目から怪光線を出しヒーローとして活躍していた。

男なんて調教しだい。