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「そんな端金(はしたがね)で働けるわけがないだろう」


年間報酬50万ドル(約5000万円)――。バラク・オバマ大統領が金融機関の巨額報酬を批判し、
幹部にこうした上限を設ける意向を発表した。
その翌日の2月5日夜、ウォール街の男たちは憤懣やるかたない様子だった。
午後7時過ぎ、金融街のバーは高級スーツを身にまとった白人男性で埋め尽くされていた。
男はたばこを吸うために、店のドアを開けた。零下10度の冷気が高層ビルの間を吹き抜ける。
「要するにさ、そんな金額では、ここで働く意味がないってことだよ」
そう吐き捨てると、吸い殻を靴底でもみ消し、店内の喧噪の中に消えていった。
「安すぎる」「バカげた給与だ」
ウォール街の男たちは口々にそう叫んだ。
オレンジ色のセーターを着た恰幅のいい金融マンは、皮肉な笑みを浮かべた。

「いいかい。俺たちは零細企業のヒラ社員じゃないんだ」