通常表示に戻る

空白・改行を保持して表示します。横にスクロールできます。

万引き家族見ました。自分なりの意見まとめて少し長くなりましたが、ご容赦ください。 

上映される前から話題になっていた万引き家族。
センセーショナルなタイトルで、一部の思想が偏っている方々が様々な形で抗議していましたが、 見ればわかる通り、【万引き家族】の中で、万引きは重要な要素ではありますが、いろいろあるテーマの中の1要素に過ぎません。

『逆噴射家族』(小林よしのり原作の映画)の題名だけ見て『おい何だ!このタイトルは!逆噴射を日本の文化にするな!』とでも言うのでしょうか。タイトルのみで怒るのは止めてもう少し冷静になってほしいです。

もう一点気になるのは、【万引きで生計を立てている家族なんてありえない。】という考えです。なぜそこまで断言できるのでしょうか?鋼の錬金術師でグリードも言っていましたが、『有り得ない事なんて有り得ない』。この万引き家族に関しても、少し前に同じように子供に万引きさせている親が捕まり話題になりましたが、それ抜きにしても、生活保護の捕捉率が19%、セーフティーネットに穴が開いている現状、この貧困社会の延長線上に万引き家族はいるという仮定を立てるのは突拍子もないアイデアとは思えません。有り得ないと頭から否定せず、いろいろな考えを見て聴いてまずは咀嚼してみる。そうすることによって知識が積み重なり、世界が広がるのではないでしょうか?100%有り得ない事は僕に髪の毛がフサフサ生える、彼女ができることくらいでしょう。この2つだけは断言できます。

ただ、ちょっとラジカルな名前付きすぎたってのはありますね。
万引きは、アクセントであり、重要なファクターは【貧困】【セーフティネット】【日本の世間の冷たさ】でしょう。
もし、僕ならどんな題名つけるか考えてみました。
『力合わせて』←つまらないアニメの主題歌みたい
『疑似家族』←万引き家族のほうがしっくりくる
『底辺はていへんだ』←まさかのダジャレ
…さて、僕のタイトルセンスがないと分かったところで、肝心要の中身です。
これが、あんまりよくなかった。評判程ではありませんでした。

話が長い
単純に長い、だらだらと日常を映すのが、是枝さんの持ち味なんでしょうか。
丁寧に描きすぎだと思うんですよね。もうちょっとこっち側に想像させて欲しいです。

いい映画は想像をさせる
僕の好きな映画に『ドライヴ』という映画があります。エンディングでは主人公の行く末を暗示しながらも、唐突にエンドロールが流れます。
そのほうが観客に想像をさせる。いい映画は考える余地を与えてくれます。
見終わった帰り道に『あれは何だったんだろう』とかあれこれ考えたいじゃないですか。
この疑似家族に先はないことは、みんな分かっているでしょう。
社会保険に入っていない。生活用品は万引きで賄う。誘拐同然に攫ってきた子供。
この家族は、最初からほぼ破綻しています。バッドエンディングは免れません。だとしたら、大事なのは終わりまでの過程と『どこまで見せるか』でしょう。
ネタバレになるので言えませんが、あそこまで見せる必要があるのかと首をひねりました。
僕だったら、警察が忍び寄っている描写で終わらせます。それなら、もう少しコンパクトに纏めれた気がします。

衣装と食事はよかった
衣装は良かったですね。みんなして汚い恰好しているのですがあれはリアルですね。
僕の小学校にも、赤貧の子がいたのですが確かに同じような格好してました。
食事も鍋のごった煮やカップラーメンを食べているのですが、貧困特有の高カロリー
だが、バランスを欠いている食事という表現が上手い。

演技
皆さんさすがの日本アカデミー常連。うまいですね。ただ、やはり綺麗すぎる。
女優の皆さんスッピン体当たりで挑戦しているのですが、エレガントさが隠せていません。
例えば、金髪プリン頭、高カロリー食とってる故に太っている、クロックスのサンダル
もう少し貧乏家族のアクセントになる小物があってもよかったかな。

あと、『叫んで感情を爆発させる』『1カットで演者のアップ。そこで心情をぼつぼつと吐露する』というのが、日本で演技上手いって言われる時によく使われる表現ですがもう止めません?
ちょっと前に公開されたデトロイト。
その中で殺人の罪で訴追されそうになる警官がソファに腰かけて煙草吸おうとするんですね。
で、平静を装って煙草に火をつけるんですが、煙草の先端がガタガタ震えて瞳孔が開いているんですよ。平静を保とうとするが極度の緊張が隠せていないっていう名シーンなのですが、これを見たとき演技の奥深さを感じましたね。つまり、演技の中で演技している。
叫ぶのも、心情を吐露させるのもストレートな演技表現ですよね。もっと奥深い演技を日本映画で見たいです。

エンターテインメント性
万引きの場面もオーシャンズ11的なエンターテインメント性が欲しかったです。(冗談)
デッドプール2見た後だと、刺激が足りない。
社会性の高い作品でそこを期待するのは間違いではあるとわかっているんですが…

美しい画作り
駐車場の暗闇の中、親子でじゃれ合うシーン。仕事に行く前の早朝、主人公が住宅街の中を走る電車をじっと見るシーンがあるのですが、この2点のシーンはハッとする美しさがありました。是枝監督の画作りは上手く、そこは見てて感心しました。

結論
星3ってところでしょうか。エンターテインメント性は低いし、同じお金出すならデッドプール2がおすすめです。デッドプールといえば第4の壁を越えてくること(デップーが観客に話しかけたり、映画内で映画がフィクションであると言及する)で有名ですが、今回はエンディングで最高の第4の壁の超えかた見せてくれますよ!お勧めです。