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933 名前:名無しのオプ[] 投稿日:2009/04/13(月) 12:21:09 ID:pA3I/Kp+
とあるホテルの一室で、男は酒を飲んでいた。
男はすでに深い酩酊状態に陥っており、意識も朦朧としている。
そうやってこれから彼を待ち受ける、考えたくもない現実から
逃れようとするが、心の奥底ではその事ばかりを考えていた。
男には、このままでは膨らむばかりで返しきれない借金がある。
彼を支える大切な人々の事を思うと、彼は決断せざるを得なかったのだ。
(これはアイツらのためでもあるんだ。)
男は飲み干したグラスを置いて、フラフラと立ち上がり部屋を出る。
そしておぼつかない足取りで屋上へ続く階段を上っていった。
屋上のへりまで進み、下を見下ろす男。
「これが、最後に見る景色か・・・。」
男は静かに目を閉じ、他に最良の方法はないのかと、これまで何度も繰り返してきた
自問自答を始めるが、もはや後戻り出来る状況で無い事は解りきっていた事だ。
「さようなら」
男が震えた声で別れの言葉をつぶやき、こらえきれず涙を流すと
そのまま10数メートル下のアスファルトへ落ちていった。
こうして男は誰に知られるぬまま別れを告げ、闇夜のホテルに静寂だけが残った。
翌日、自分が経営するホテルの取り壊し工事を、近くで寂しそうに見つめる男の姿があった。