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僕が子どものときにはバイクは常にガレージにあった。
そのうちニューヨークの祖父宅に引き取られて納屋にしまわれた。
1980年に1度だけエンジンをかけて、野外で乗り回してみたことがある。

祖父が亡くなると父さんはそのバイクを自宅に引き取り、
他界するまでガレージの奥にしまわれていた。
父さんが一生持っていたバイクだけど、40年ほど道路を走っていないバイクだ。
いつもバイクを動かす手伝いをしたいと言ってきたが、父は乗り気じゃなかった。
理由はわからないが、きっと乗るには歳をとり過ぎていると思ったのかも
しれないと考えていた。
修理のパーツは買うが、何度誘っても断るのでエンジニアの父さんに
しては変だなと思っていた。

父さんが亡くなると、母さんがバイクを売りたがった。
きっと売れば3000ドル(25万円)くらいになったろうけど、僕は売りたくなかった。
バイク友達に手伝ってもらって、どうにか直してみたかった。

妻にこのバイクを見せたとき「ハンドルに付いている紙には何が書いてあるの?」と尋かれた。
何年もバイクを見ていたけど、紙を外してみたことがなかったんだ。
紙を広げてみると、そこには父親の筆跡で

「スペアのパーツはヘッドランプとテイルランプの中に閉まってある。
必要な工具はツールキットに入っている。
このバイクをお前が出来る最高のバイクに直して欲しい。 ─R.コステロ」

父さんは自分が死ぬまで、僕がこれを読まないとわかってたことを知って泣いた。
僕に直させるためにとっておいたんだ。
紙の色からしてこれを父さんが書いたのは僕が10代の頃だと思う。
僕に車の直し方とかを教え始めた年だと思う。
この手紙を母さんに見せたら「私が3000ドルを手にすることはないわね」と言った。
もともと売る気はなかったけど、父さんのメッセージを見て決心した。