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「夫婦で年収600万円をめざす! 二人で時代を生き抜くお金管理術」

上記の本を読んで、ああ、「おひとりさま」の時代はもう終わるんだなと改めて感じた。 
そもそも、人生を独りでやっていこうというスタイルが無理すぎる。
「おひとりさま」で生きていくということ=“家事も金銭も情緒もスタンドアロンにやっていく”って事なのだから。
色々しんどかったり非効率的になったりするのは避けられない。
 
ごく最近まで、ホモ・サピエンスは独りで生きるのが著しく困難だった。
狩猟採集社会にせよ農耕社会にせよ、血縁集団や地域集団などを中心に助け合って生活し、
その互恵集団に適したメンタリティや認知機能を標準装備してきた。
 
近年、テクノロジーの進歩・電化製品の普及・価値観の変化によって、
「おひとりさま」でも生きられる時代がやってきた。
「収入さえあれば、おひとりさまでも生きていける」という気付きから
「収入のあるおひとりさまなら、しがらみを最小化して好き勝手に暮らせる」という発想までの距離はごく僅かだったのだろう。
いつしか「おひとりさま」志向をスマートで“自分らしい”生き方とみなす風潮が広がり、
その「おひとりさま」をターゲットにした商品が市場に氾濫するようになった。 
早い話、「おひとりさま」は“格好良かった”のである。

ところが最近、「おひとりさま」がしんどくなってきた。
バブル崩壊~リーマンショックまでの流れのなかで、「おひとりさま」には必要不可欠な収入が目減りしてしまった。
お金が減ってくれば、住居を維持するのも大変になってくる。
そしてコンビニエンスストアをはじめとする「おひとりさま」向けのサービス業は、便利ではあっても大抵は高くつく。
 
しんどくなってきたのは、金銭だけではない。
80年代~90年代にかけて「おひとりさま」を謳歌し、そのまま歳を取り続けてきた人達は、
今や「おひとりさま」の持つもうひとつの側面に直面している。
すなわち“独りで中年や老年を過ごすという可能性”である。
心身がゆっくりと衰えていくなかで「おひとりさま」と独り向き合うのはそんなに楽なことではない。
 
では、「おひとりさま」の時代が終焉し、人と人との結びつきが全面的に見直される時代が到来するだろうか?
「おひとりさま」をいつまでも続けるリスクは可視化されつつある。
だから若い世代を中心に、「おひとりさま」を回避するような動きや
「おひとりさま」を格好良いとみなさないような動きが起こってくる可能性は高いと推定される。
 
ところが「おひとりさま」に特化してしまった人は、なかなか「おひとりさま」をやめられない。
なぜなら「おひとりさま」は人と人とのコミュニケーションの齟齬や摩擦を最小化する生活形態なのであって、
それに慣れきってしまった人間が、コミュニケーションの齟齬や摩擦を含んだ生活形態に
一から馴染むことはきわめて困難だからである。
地縁、血縁、人間関係といったものをしがらみとして嫌悪し遠ざけてきた人間に、
どうして円満な家族生活や地域生活ができようか。

なので、「おひとりさま」は若者のトレンドではなくなるものの、
既に「おひとりさま」に慣れすぎている人達はズルズルと「おひとりさま」を続けていく可能性が高い、と推測される。
まだ融通の利く世代と、もう融通の利かない世代では、「おひとりさま」を巡る問題は異なった様相を呈する筈で、
さらに言えば、対応策も異なる筈である。

いずれにせよ、「おひとりさま」の次を考えなければならない。
いや、既に考えはじめている人もいる。
例えば『他人と暮らす若者達』を著した久保田裕之さんなどは、まさにそれだろう。