通常表示に戻る
空白・改行を保持して表示します。横にスクロールできます。
399 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/03/24(土) 10:57:08.36 ID:sbmYM6C0
秋田藩二代藩主、佐竹義隆公の時代のことである。
そこに小貫五左衛門という、微禄の藩士がいた。
五左衛門は妻が幼い娘を残して死んだ。しかし貧乏な上に頼れるような親族もおらず、
一人で娘を育てていた。
城詰めの宿直などがあるときは、娘を葛籠に隠して城中に連れ入った。同僚たちはこの事を知っていたが、
彼に同情して見て見ぬ振りをしていたという。
ところがある時、宿直の夜、まだ4歳であった娘が夜泣きをし、こともあろうかその鳴き声が、藩主義隆公の
耳に入ってしまった。
すぐさま事情は究明された。無断で城中に娘を連れ入れてしまっていたのだ。小貫五左衛門はじめ同僚たちも、
定めし重い処罰がなされるだろうと、皆戦々恐々としていた。
そのうちに義隆よりのお達しがくだされた。そこには、こうあった。
『娘が成長するまで、小貫五左衛門の宿直は免除する』
そして小貫五左衛門や同僚たちへのお咎めは一切なかったそうだ。
(黒甜瑣語)