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20年近く前の話。ばあちゃんが病気で亡くなろうとしていました。
病院のベッドの上、ばあちゃんの魂を繋ぎとめるかのように、
体中にチューブが繋がってたのが印象に残ってます。

もう意識も途切れ途切れで、語りかける言葉 にも、反応したりしなかったり。
そんな中、当時は半端なヤクザ者だった私の父が駆けつけてきました。
当時すでに両親は離婚しており、正直私は「今頃何しに来た んだろう」
くらいにしか父の事を思っていませんでした。
でも、ばあちゃんにとっては大事な息子だったんでしょう。
死の淵にいる自分を利用して、息子に対する最後の説教とも言える会話を始めました。




父「おふくろ...俺が判るか?」
ば「.........(黙って微かに首を振る)」
父「...俺の事も判んないのかよ。」
ば「......こんな息子いない。」
父「え?」
ば「あたしには...ヤクザ者の息子なんていない。」
父「おふくろ、何言って...」
ば「○○(父の名)とはお別れできないんだねぇ...」
父「おふくろ、俺ここにいるよ。」
ば「(父を睨んで)あんた誰だい。○○はヤクザに身を落すような親不孝者じゃあないよ。」
父「(ばあちゃんがわざと他人のフリをしてるのに気付いた)
おふくろ!勘弁してくれよ!これから真面目に生きるから、許してくれよ!」

父はそう言って、ばあちゃんにしがみついて泣き出しました。
ばあちゃんは最後にこう言い残します。

「○○はきっと、あたしの葬式には、
立派な姿でどんな仕事をしてるか報告に来てくれるはずだよ。」


父も、ばあちゃんの言いたい事が判ったらしく、泣きながらも必死で肯いていました。
父はそのまま、ばあちゃんが逝去するまで4時間ほど、
手を握り続け、私や親戚一同と共にばあちゃんを見送りました。

ばあちゃんが亡くなり、初七日を迎えた日、
父はスーツを着て会場に現れまし た。
胸を張って遺影に手を合わせ、運送会社に就職した事を報告していました。
真っ直ぐに遺影を見つめながら、父は静かに涙を流していました。