856: ピン札 04/10/05 22:12:13 ID:8LpNhq6D
3年ほど前の話・・・
介護職員をやっていたころ、
春増さん(仮名)というおじいさんに出会った。
年でもう歩けなく、糖尿やらなんやら・・・
カタコトしか話せないんだけど、
意識はしっかりしていた。
他の老人達もいるなかで、
なぜか春増さんとよく話をした。
昔足が速かっただの、女にもてただの・・・
早く結婚しろだの、散髪しろだの・・・
あまり長い話は理解できないらしく、
毎日少しづつ会話をした。
私の祖父祖母は幼いときに亡くなっていたので、
春増さんの事を自分のおじいさんのように思っていた。
そんなある日初めて遅刻をした。
バスに乗り遅れ、2時間ほど。
ただの寝坊だった。
857: ピン札 04/10/05 22:21:26 ID:8LpNhq6D
簡単な作業を終え、
いつものように春増さんの部屋へ行った。
なにかが違う!?
いつもなら必ず返答してくれるのに・・・
うす目をあけたまま天井をぼーっと見ている。
脈もしっかりしていて、呼吸も正常。
だけど、揺さぶっても何の反応も示さない。
すぐに看護婦を呼びに行った。
脳硬塞だった。
2日後・・・意識はもどることなく逝った。
858: ピン札 04/10/05 22:41:44 ID:8LpNhq6D
4日後、春増さんの家族が私に会いに来た。
「生前あなたに渡して下さいと言っていました。」
そういって、こぎたない財布を渡された。
中には、一万円札が二枚と五千円札が
二枚入っていた。
こういう物は受け取れませんと断ったが
「必ず受け取ってくれ!!
金額の問題ではないんだ!!」
家族は必死だった。
なぜ?どうして?理由を家族に聞いた。
財布に入っているお札は全てピン札だった。
話によると、子供や孫のボーナスやら
初任給やらの時の物らしい
もし自分にもしもの事があった時
せっかくもらった気持ちを返すのは
心ぐるしかったらしい
そこでいつもお世話になっている
自分に渡すようにと言っていたそうだ。
859: ピン札 04/10/05 22:50:06 ID:8LpNhq6D
泣いた。
仕事中にも関わらず泣いた。
大声で泣いた。
それから1ヶ月後仕事を辞めた。
春増さんとの事いらい、
患者とまじめに向き合うことが怖くなった。
普段の何気ない会話でさえもできなくなっていた。
今現在、人の死に関わるような仕事から
かけ離れた職に就いている。
逃げだと言われてもしょうがない。
でも、数年たった今でも部屋の机の上には
ボロボロの財布と、黄ばんだピン札が
大事にかざってある。
3年ほど前の話・・・
介護職員をやっていたころ、
春増さん(仮名)というおじいさんに出会った。
年でもう歩けなく、糖尿やらなんやら・・・
カタコトしか話せないんだけど、
意識はしっかりしていた。
他の老人達もいるなかで、
なぜか春増さんとよく話をした。
昔足が速かっただの、女にもてただの・・・
早く結婚しろだの、散髪しろだの・・・
あまり長い話は理解できないらしく、
毎日少しづつ会話をした。
私の祖父祖母は幼いときに亡くなっていたので、
春増さんの事を自分のおじいさんのように思っていた。
そんなある日初めて遅刻をした。
バスに乗り遅れ、2時間ほど。
ただの寝坊だった。
857: ピン札 04/10/05 22:21:26 ID:8LpNhq6D
簡単な作業を終え、
いつものように春増さんの部屋へ行った。
なにかが違う!?
いつもなら必ず返答してくれるのに・・・
うす目をあけたまま天井をぼーっと見ている。
脈もしっかりしていて、呼吸も正常。
だけど、揺さぶっても何の反応も示さない。
すぐに看護婦を呼びに行った。
脳硬塞だった。
2日後・・・意識はもどることなく逝った。
858: ピン札 04/10/05 22:41:44 ID:8LpNhq6D
4日後、春増さんの家族が私に会いに来た。
「生前あなたに渡して下さいと言っていました。」
そういって、こぎたない財布を渡された。
中には、一万円札が二枚と五千円札が
二枚入っていた。
こういう物は受け取れませんと断ったが
「必ず受け取ってくれ!!
金額の問題ではないんだ!!」
家族は必死だった。
なぜ?どうして?理由を家族に聞いた。
財布に入っているお札は全てピン札だった。
話によると、子供や孫のボーナスやら
初任給やらの時の物らしい
もし自分にもしもの事があった時
せっかくもらった気持ちを返すのは
心ぐるしかったらしい
そこでいつもお世話になっている
自分に渡すようにと言っていたそうだ。
859: ピン札 04/10/05 22:50:06 ID:8LpNhq6D
泣いた。
仕事中にも関わらず泣いた。
大声で泣いた。
それから1ヶ月後仕事を辞めた。
春増さんとの事いらい、
患者とまじめに向き合うことが怖くなった。
普段の何気ない会話でさえもできなくなっていた。
今現在、人の死に関わるような仕事から
かけ離れた職に就いている。
逃げだと言われてもしょうがない。
でも、数年たった今でも部屋の机の上には
ボロボロの財布と、黄ばんだピン札が
大事にかざってある。
コメント一覧
この人は向いてないよ
誰にでも当たり前に訪れるものなのだ、という実感がね
それは、知識として理解するのとは違う。
かなりな重労働な上、こんな悲しいシチュエーションも多々あるのに本当に見合わない。
国は防衛費上げてカジノ作ってる場合じゃねぇよ。カス共!
多くのおじいちゃんやおばあちゃんに出会って、多くの死別を迎えないといけないなんて
仕事として割り切ってしまったら俺の中の大切ななにかがなくなりそう
だから介護の人に嫌な気持ちを押し付けた
って話です
>ただの寝坊だった。
車持とうや。