239 :わんにゃん@名無しさん :03/09/21 03:24 ID:F1PpfkJ8
亡くなってもう3年になるけど・・・
むくが家に来たのは、私が中学2年の時だった。
コロコロした、柴の雑種の男の子。
賢いけどお茶目で、気が強いけど甘えんぼで、元気に大きく育っていった。
中学の時私は学校が嫌いで、親にも反発し、むくと話しをするのが唯一心の安らぐ時だった。
高校生になって学校も楽しくなり忙しい毎日だったけど、むくのご飯とお散歩は、ずっと私と弟の役目だった。
お酒を飲んで帰ってきた父が、母に小言を言われ、むくに愚痴ってたこともあったけ。
暑い時にはおじいちゃんの部屋に入れてもらって、一緒に扇風機に当たって目を細めていたね。
おじいちゃんと古いシーツで綱引きするのも大好きだった。
そのおじいちゃんが急に亡くなり、お葬式の時、いつもは他人には困るほど吠えるむくが、一言も吠えず悲しそうに小屋の中でうずくまってた。
240 :わんにゃん@名無しさん :03/09/21 03:30 ID:F1PpfkJ8
ある日、むくが全然小屋に入ろうとしないので心配になって中をのぞいてみたら、そこには病気のちっちゃいネコがいた。
ご飯も分けてあげてたみたいで・・・本当に優しいコだったんだね。
私が苦労して作ってあげた服は5分でビリビリにしちゃったのに、ふざけて付けたお正月の飾りはすごく気に入って、
いつまでも自慢げにしてたっけ。
むくが15歳の時、私は結婚して家を離れてしまったけど、実家に帰ると、ちぎれそうな程しっぽを振って迎えてくれた。
17歳になった頃には、目も見えず後ろ足もほとんど立たなかったけど、それでも私の声を聞くと、這うように寄って来て体をすりつけてきた。
体はどんどん弱っていって、先生からは「良くてあと1週間」と宣告された。
だけどむくは、それから3ヶ月も生きたんだ。
241 :わんにゃん@名無しさん :03/09/21 03:38 ID:F1PpfkJ8
そして、弟の結婚式の日が来た。
それまで付きっ切りで面倒見てきた母も、そして私も、その日だけはついていてあげることが出来ず、病院に一泊だけ入院させてもらうことにした。
結婚式は無事終了し、弟夫婦はそのまま新婚旅行へ。私は、父と母と、
「明日一緒にむくちゃんを迎えに行こうね」って約束した。
だけど。
その日の夜中、むくは病院のケージの中で、息を引き取ってしまった。
「眠ったまま、安らかに逝きました」
って先生は言ったけど、最後の時を一緒に居てあげられなかったことが悲しくて悔しくて申し訳なくて、涙が止まらなかった。
でも母の
「むくはきっと、小さい頃からずっと一緒だったお前と○○(弟)が
一人前になって、この家から巣立っていくのを見守りたかったんだね。
きっと、見届けてホッとしたんだろうね」
と話すのを聞いて、少し救われた気がした。
弟は数日前、
「俺、旅行から帰って来たら、むくとは会えなくなってるような気がする」と言って、
私に内緒で木製の棺を作っていった。
むくは、一晩私たちと一緒に過ごした後、その棺に納められ、煙になって天に昇っていった。
242 :わんにゃん@名無しさん :03/09/21 03:43 ID:F1PpfkJ8
むく、キミは幸せな気持ちで生きていられた?
怒ったり、八つ当たりしたり、時にはお散歩をさぼっちゃったこともあったけど、うちの家族になって良かったって、思ってくれたかな・・・
私は、むくと一緒にいられて、とてもとても幸せだったよ。
もう会えないけど・・・ずっとわすれない。
本当に、ありがとう。
コメント一覧
イヌネコにも「この時までは死んでも死に切れねえ!」的なのあんのかね。結婚がどういうモンなのか分かってるのか疑問だけども
その猫が死んでしまってから17年間、僕はいまだに恋をできないでいる