コピペ運動会

先日、被災した友人Aを見舞いに数年ぶりに地元に帰った。目の前で津波で家と両親を亡くしたAにかける言葉も見つからなかったが、当のAは思っていた以上に冷静で淡々としたものだった。
そのうえ会う前に何か必要なものはあるかと事前に電話で聞いたら、「気持ちは有難いがもう充分に物資は貰って置き場に困り始めたぐらいなので何もいらない」とまできっぱり言われていた
二人で食事をしていたら偶然にも共通の友人Bに会った。Bとは成人式で会ったきりで結婚して子供がいることは知っていたが、いつからか携帯を変えたのか連絡がつかなくなっていた。

Bの家は海岸から離れた市街地にあり、地震で多少の被害はあったかもしれないが津波の影響は無いはずである。念の為に聞いてみたら案の定家も家族親類皆無事だった。
なのにダニ親にくわえモンスター被災者様という合併症を引き起こしているようだった。
Aに買ってきた手土産のお菓子を見ながら
「あーいいなー。うちの子甘いの好きなんだよね」
言うとBガキも
「お菓子欲ーしーい！」
と騒ぎ始めたので人がいいAはあげてしまった。すると
「もっとなんかないの？うち子供いるから色々必要なもの多くてさー。あんたもせっかく帰ってきたならなんか物資持ってきてもよかったじゃん、優しくないなぁ」と更にたかられた

「うちも色々辛かったけど、この子がいるからなんとか頑張れたのぉ。子供って本当天使だよ～二人とも早く結婚して産みなって。亡くなったAママとパパも早くAの花嫁姿と孫の顔見たいと思ってるはずだよ」
と言いながら突然私とAの手を取って自分の腹を触らせ
「幸せのお裾分け。妊娠菌分けてあげる。実は二人目出来てさぁ～。あたしこの震災で更に母性強くなった気がする。母は強しってこういうことなんだって思ったよ」
あまりの空気の読めなさに唖然。帰り際にAが
「よくテレビなんかでも『この震災をきっかけに自分は変わった』って言ってる人が多いけど、人間の本質なんかそう簡単に変わらないよ。ただ本性が出ただけだと思うんだよね」
と言っていたのがすごく印象的だった。