コピペ運動会

今から六十年前の武勇伝。
御年八十四歳になる婆ちゃんがまだ二十代の頃、姑に苛められていたらしい。
その姑、爺ちゃんとは血の繋がっていない、つまりは継母。
婆ちゃんどころか継子である爺ちゃんのことも幼少期からずっと苛めていた。
同じ長屋に住んでたそうだけど、息子夫婦の家の前に生ゴミ撒いたり、
くだらないことで詰ったりと散々ひどいことしてたらしい。
ある日、姑が近所で爺ちゃんの悪口言いふらしてたのを聞いた当時の婆ちゃん、
気付いたら姑に馬乗りになって「謝れっ謝れ！」って言いながら往復ビンタしてたんだって。
だってね、爺ちゃんは継母に文句一つ言わずに稼ぎの一部を渡してたの。
あんな人でも僕の母親だからって。
本当のお母さんは、爺ちゃん産んでから体調崩して、爺ちゃんが五歳のときに亡くなったらしい。
だから余計に腹が立って、婆ちゃんはご近所の目なんか気にせず姑を殴る殴る。
後から駆けつけてきた爺ちゃんが婆ちゃんを羽交い締めにして止めるまで
ボッコボコにしたよ、と婆ちゃんは誇らし気に語っておりました。

今、婆ちゃんの家の仏壇には爺ちゃんの位牌が飾ってあります。
その一段上には爺ちゃんの両親と、そして継母の位牌もあります。
親戚からは「あんなん捨てちまえww」と言われてますが、
死んだら皆、仏様。
と言った婆ちゃんの顔は菩薩様のようでした。