コピペ運動会

多分私には誰か男の人に好きになってもらってプロポーズされて結婚して一緒に暮らして、
相手の熱望のもと子供を生んで育てて自分の子孫を後世に残すなんてことは無理なんだ。
卵子の劣化は30手前から始まることが医学的に明らかになっている。
ついに30になってしまった。私の羊水は腐り始めた。

会社の同期とか同年代の同僚とか大学のときの同級生とか先輩後輩とか、
みんないかにも結婚して幸せですって顔をしている。
本当はその裏に計り知れない苦労も努力もあるんだろうけど、
少なくとも彼らは「自分の子孫を残すことに協力する」相手を形式だけでも獲得することができた勝者だ。
それはつまりその相手が私ではない、あるいは彼女らの夫たちの相手が私ではないことを意味する。


最近子供が生まれた会社の同期同士カップルは今まで生きてきた中で一番幸せだと私の前で臆面もなくのろけてみせる。
おめでとうと祝う私がどんなにそののろけに傷ついているかも想像せずに。
10人程度の同期の中で女性は彼女と私二人だけだった。
彼女は当初別の彼氏がいたけど、現夫の同期が略奪したらしい。
私はずっと独り身だった。女として屈辱だった。
彼女と比べて価値がないと晒し者にされている気分だ。


35過ぎていよいよ子供が生めなくなったら、私が第二第三の自暴自棄系通り魔殺人者になる予感がして薄ら寒い。
子供を連れて幸せそうに道を歩いている夫婦がいたら後ろから刺し殺してしまうかもしれない。
金槌とかコンクリートの破片なんかで頭を打ち砕いてしまうかもしれない。
夫婦でなければ嫉妬の標的にならない。片親ならば今すぐにでも私はなれるから。
でもそれじゃ私も相手も子供も幸せになれないからそうはしない。
大好きな人と結ばれて大好きな人の子供をもうけて育てて幸せで仕方ない人は自衛してほしい。
私が犯罪者になってしまう前に。
そうなる前に何か自分に価値を見出せるような偉業を成し遂げられたらいいんだけど、何ができるんだろう。
仕事じゃだめなんだ。
自分の成果が肯定されただけで自分自身が肯定される＝自分のコピーを作ることに協力してもらうわけじゃないんだから。
結局私一生不幸のままみたいだ。
死んでしまいたい。安楽死させてくれればいいのに。いつか私が幸せな子連れ夫婦を殺す前に。