コピペ運動会

もう20年以上前の話

俺が小学生の頃にな、年に一度親戚一同が祖父の家に集まって飲み明かすってイベントがあったんだわ
もちろん各家庭の子供もついてきてて、親達は昼間っから宴会、子供達は外で遊ぶってな感じになってたんだ

祖父の家は山の上の方にあってな、バカ騒ぎしても近所迷惑にならないし、子供たちは川や山で遊べるから集まるにはうってつけだったんだと思う

俺はその頃から人見知りで、テンションマックスで田舎を楽しむグループの子達とはあまり仲良くなれなかったんだ
で、あぶれた俺に優しくしてくれた一個上の子がいてな。仮名を菊ちゃんとしておこう
この子と俺は毎回二人で遊んでたんだ


で、そんな集まりも三回目くらいかな。またその年も集まりがあって、俺は毎度のごとく菊ちゃんと二人で遊ぶことにしたんだ

祖父の家から少し上に登ってくとさ、竹藪を切り開いて雑にコンクリみたいなので舗装された通路になっててな
俺と菊ちゃんはそこでボール遊びをすることにしたんだわ
ﾊﾞﾚｰﾎﾞｰﾙくらいのﾎﾞｰﾙを交互に投げ合っててさ、暴投したら負け、みたいな感じだった

通路は少し坂になってて俺が下
ボール遊びを始めるころには少し日が暮れてきてて、菊ちゃんは夕日を背負った形になってた

何度かの投げ合いの後に、菊ちゃんが暴投したんだ
俺は坂の下だったからボールは結構後ろに転がってっちゃってな、俺は走ってボールを拾いに行った

やっとこさボールを拾って投げ返してやろうと、元いた場所まで走って行く

その途中、菊ちゃんの方を見ると菊ちゃんの少し手前？に変な影が見えた

影は逆光なせいか、俺がただそう感じただけなのかやたらでかく見えた
その影がこう、フラｯフラッと大きく揺れながら菊ちゃんのほうに向かってった

俺はもう怖くて固まってた
たぶん菊ちゃんも固まってたんだと思う

しばらく固まってたらその影が菊ちゃんを引っ張って脇の竹藪に消えたんだよ

竹藪からしばらくガサガサガサて音がしててさ、しばらくして潰れたような「ｹﾞｪｯ」みたいな声がしてシーンとなった

俺は怖い以上にその場にいたくなくって、一気に道を下って祖父の家まで転がるように走ってったんだ
で、酔っぱらってる大人たちに泣きわめきながら菊ちゃん連呼してた気がする
多分何も伝わってなったんだろうけどあまりに菊ちゃん菊ちゃん言ってる異常な俺を見てヤバイと感じたのか、大人たちは菊ちゃんを探しに行った

俺はオカンに連れられて離れの小屋で震えてた

この後俺は寝たり起きたりでどうなったのかわからんかったわ
ただ菊ちゃんのオカンが超取り乱してたのは覚えてる

しばらく色々聞かれた後、俺はオトンは残してオカンと一緒に地元に帰った
最後まで菊ちゃんが見つかったって話は聞かなかった

それから年に一度、親戚が集まるイベントは全くなくなった

俺が知ってたのはここまでだったんだわ
つい最近まではな

先日その祖父が亡くなってな。20年以上ぶりに親戚が集まる事になったんよ
どうせだし昔みたいに酒飲んで騒いで祖父を送ってやろうってかんじでな

んで、集まったのは菊ちゃんの両親以外の親族だったんだ。
皆微妙に安心したのか酒を飲んでるうちにさ、当時の話になったのよ


どうやら事の顛末を知らなかったのは家族の中で俺だけだったみたいでさ
話をしようとするおじさんの事を、どうにかオトンが止めようとするのよ
でもおじさんも周りの人もコイツもいい年だし、知っておくべきだって、みたいな感じで全部教えてくれた

長くなったし結果から言うと、菊ちゃんはあの後しばらくして発見されてた。
祖父の家から少し離れた林に捨てられてたんだってよ


当時祖父の家の近くにさ、廃校を改装した養護施設があったみたいでな
そこから脱走した奴がやらかした、って事だった
俺がみた影ってのはお化けでもなんでもなくて、人間だったわけ

あの日菊ちゃんのオカンがやたら発狂してたのはさ、連れ込まれた竹藪の中に服が残ってたからだった
そら発狂するわな･･･


おじさん方も言いにくそうにしてたけど、子宮がうんぬん言ってたからまあそういうことだろうよ

今はボール遊びしてた場所のすぐそばにお地蔵さんが置いてあるよ
話を聞いた次の日に線香はあげさせてもらった

菊ちゃんの両親は今、ちゃんと子供もいてしっかり生活してるって話は聞いたからさ
一度俺から挨拶しに行こうかと思ったけど、それはやめとけと止められちまった

以上で俺の話は終わり
妖怪や超常現象じゃなくてすまんの

皆も変な奴には気をつけろよ