406 :ななしのいるせいかつ :2007/02/07(水) 11:11:50
私も家が貧乏だった。
早くに父が他界して、母と二人暮し。
多分、給食費を払うのも精一杯だったと思う。
1,2年の担任の先生がいつも気にかけてくれていた。
新たに教材を揃えないといけない時は、前年の残りや先生の物をコソっと分けてくれた。
文房具も揃えきれない私に先生は、成績が上がる度や、毎年誕生月に
鉛筆、ノート、消しゴムなどを「皆にはナイショだよ。」と言ってプレゼントしてくれた。
それは小学校を卒業して、中学生になっても続けてくれた。
私が高校生になるのをとても楽しみにしてくれていたのだが、
私の制服姿を見て貰える事無く、突然この世を去ってしまった。
高校生になって、アルバイトで初めて貰った給料でネクタイを買った。
初めて稼いだお金は、先生へのお礼に使いたいとずっと思っていた。
母も賛成してくれた。
休日、二人で先生宅を訪れ、奥様に今までの経緯とお礼を述べ、
持参したネクタイを受け取ってもらうと、奥様はふと想い出したように席を立たれた。
奥様は小さな包みを持って来られると、それを私に差し出し、
「きっとこれはアナタへの贈り物だと思うの。 夫は普段、学校の事は一切話さなかったの。」
「でも、『高校受験する生徒がいる』と、まるで自分事のように心配してて。」
「小学校の先生なのに可笑しいわよね。」と懐かしむように話してくれた。
先生からの最後のプレゼントは、万年筆と小さなメッセージカードでした。
カードには、「これからも沢山勉強しなさい。」と書かれていました。
部屋を見回すと、ノート、シャーペン、下敷き、定規、辞書、参考書。
どれも先生から頂いたものばかり。
でも、物では返せない、沢山の御恩を先生から頂いたと思うのです。
もうすぐ私は先生の言葉を胸に、母校の教壇に立ちます。