小6のときの夏休みの宿題。「一番楽しかった思い出を作文にしてきなさい」
一番ってなんね、これじゃあ、夏休みが終わるまでテーマが確定しないじゃんか、
夏休み明けの提出は原理的に不可能でーす。
という俺の屁理屈は先生に一蹴されたが、まあそれはどうでもよくて。
俺んちは飲食店なんだが、営業時間外の店の座敷で、友達何人かでワイワイしながら、
宿題のひとつであるグループ発表の打ち合わせをしていた。
いろいろ事情が重なってみんな早く帰ることになってしまって、ある女子(R子)と2人だけになった。
R子は美人だが、ちょっと冷たくて意地悪なとこがあって、俺は少々苦手にしておった。
「何でみんな帰るの、A(俺)なんかと2人でやっても進まんのに」
ああもう私も帰ろうかな…と不満そうにぶつぶつ言っていた。
そこに、厨房にいた父ちゃんが料理を作って持って来てくれた。
ちょっと表情が明るくなったR子だったが、父ちゃんが
「デートみたいになっちゃったねえ」と笑うと、不機嫌になって、
「はあ?はあ?おじさん何言ってんの?はあもう」
俺には怒ったようにしか見えなかったので、やだなあ…と思ってたのだが、
父ちゃんが俺にこっそり「あれはツンデレだ」とささやいた。
(当時ツンデレという言葉はなかったと思うがそんな意味のことを言っていた)
相変わらずイライラした様子で宿題の段取りを進めるR子だったが、
父ちゃんが次々と美味そうなものを持ってくるたびに、段々ご機嫌になっていった。
もともと友達全員に振るうつもりだった料理の腕を、父ちゃんが2人分に集中してくれて、
おかげでやたら豪華な2人きりのお食事会になった。
不機嫌じゃないR子はかわいかった。笑顔がかわいかった。
そこそこ会話もはずんで楽しくなった。
そろそろ帰る、とR子が言い始めた時、父ちゃんは近くにいなかった。
「おじさんにお礼言っといてね」
俺には言わないのかよ(笑)と、ちょっと仲良くなれたつもりの俺は、軽いノリで言った。
そしたら、「はあ?Aはほとんど何もしてないじゃん、下調べは結局全部私がやったし!ばっかじゃないの」
怒られた。しょんぼりした。
「あれはツンデレ」という父ちゃんのささやきを思い出し、
一番楽しいことを書くという作文の宿題のことを話した。
「俺、今日のこと書こうかな」
今日、R子といっしょにいたのが一番楽しかったって、間接的に言ってみたのだ。
R子は一瞬ゆるんだ顔をしたけどすぐ真顔に戻って、
「ばっかじゃーん!夏休み始まったばっかなのに。あんた自分で先生に言ったじゃん、
一番楽しかったことは、あとにならんと分からんでしょ」
なんか、ものすごい早口だった。
今日が楽しかったこと自体は、R子も否定しなかった。
ちょっと間があって、否定しなかった自分に気付いたらしく、あわてて
「別に今日のことくらい普通のあれだし!なんか普通だし」
「えー、じゃあ、ほかに楽しいことがなかったら今日のこと書く」
「あるに決まってるよ。て言うか、ほんとに私のこと書いたら泣かす!(笑)」
8月31日、いっしょに作文を書いた。
俺は夏祭りのことを書いた。R子も同じテーマで書いた。
最終日に確定した夏休み一番の思い出は、作文の内容よりも、
内容が俺とかぶらないように「ああもう!これじゃばれる!書き直して!」とか言って
あせったり怒ったりしてるR子の姿だった。
遠い昔の淡い思い出である。
一番ってなんね、これじゃあ、夏休みが終わるまでテーマが確定しないじゃんか、
夏休み明けの提出は原理的に不可能でーす。
という俺の屁理屈は先生に一蹴されたが、まあそれはどうでもよくて。
俺んちは飲食店なんだが、営業時間外の店の座敷で、友達何人かでワイワイしながら、
宿題のひとつであるグループ発表の打ち合わせをしていた。
いろいろ事情が重なってみんな早く帰ることになってしまって、ある女子(R子)と2人だけになった。
R子は美人だが、ちょっと冷たくて意地悪なとこがあって、俺は少々苦手にしておった。
「何でみんな帰るの、A(俺)なんかと2人でやっても進まんのに」
ああもう私も帰ろうかな…と不満そうにぶつぶつ言っていた。
そこに、厨房にいた父ちゃんが料理を作って持って来てくれた。
ちょっと表情が明るくなったR子だったが、父ちゃんが
「デートみたいになっちゃったねえ」と笑うと、不機嫌になって、
「はあ?はあ?おじさん何言ってんの?はあもう」
俺には怒ったようにしか見えなかったので、やだなあ…と思ってたのだが、
父ちゃんが俺にこっそり「あれはツンデレだ」とささやいた。
(当時ツンデレという言葉はなかったと思うがそんな意味のことを言っていた)
相変わらずイライラした様子で宿題の段取りを進めるR子だったが、
父ちゃんが次々と美味そうなものを持ってくるたびに、段々ご機嫌になっていった。
もともと友達全員に振るうつもりだった料理の腕を、父ちゃんが2人分に集中してくれて、
おかげでやたら豪華な2人きりのお食事会になった。
不機嫌じゃないR子はかわいかった。笑顔がかわいかった。
そこそこ会話もはずんで楽しくなった。
そろそろ帰る、とR子が言い始めた時、父ちゃんは近くにいなかった。
「おじさんにお礼言っといてね」
俺には言わないのかよ(笑)と、ちょっと仲良くなれたつもりの俺は、軽いノリで言った。
そしたら、「はあ?Aはほとんど何もしてないじゃん、下調べは結局全部私がやったし!ばっかじゃないの」
怒られた。しょんぼりした。
「あれはツンデレ」という父ちゃんのささやきを思い出し、
一番楽しいことを書くという作文の宿題のことを話した。
「俺、今日のこと書こうかな」
今日、R子といっしょにいたのが一番楽しかったって、間接的に言ってみたのだ。
R子は一瞬ゆるんだ顔をしたけどすぐ真顔に戻って、
「ばっかじゃーん!夏休み始まったばっかなのに。あんた自分で先生に言ったじゃん、
一番楽しかったことは、あとにならんと分からんでしょ」
なんか、ものすごい早口だった。
今日が楽しかったこと自体は、R子も否定しなかった。
ちょっと間があって、否定しなかった自分に気付いたらしく、あわてて
「別に今日のことくらい普通のあれだし!なんか普通だし」
「えー、じゃあ、ほかに楽しいことがなかったら今日のこと書く」
「あるに決まってるよ。て言うか、ほんとに私のこと書いたら泣かす!(笑)」
8月31日、いっしょに作文を書いた。
俺は夏祭りのことを書いた。R子も同じテーマで書いた。
最終日に確定した夏休み一番の思い出は、作文の内容よりも、
内容が俺とかぶらないように「ああもう!これじゃばれる!書き直して!」とか言って
あせったり怒ったりしてるR子の姿だった。
遠い昔の淡い思い出である。
コメント一覧
いい話だな…♡
理恵子
留美子
麗子
俺は ラッ子 だった
女子に虐めを食らったのが俺です
高学年にもなると、モジモジしだすか、早い娘だとダイレクトに好意をぶつけてくる。
中学生にもなると、開き直って「大好き!!」とか言ってくる。
高校生位で俺の知らない人間関係ができはじめてさ…
二十歳を越えて、結局他所の男のとこ行きやがった。
で、最後に俺にかけた言葉が「お父さん、立派に育ててくれてありがとう。今でもやっぱり大好きです。」
だとよ。
ふざけんな!幸せになりやがれ!
お膳立てか
かな。よく似た意味って。
よかった
それを楽しみに最後まで読んだのに…
血の涙が出るほどにチクショウっ!
入隊したらイケメンに一目惚れする尻軽になる。
ツンデレの特徴だな。
「それが今の妻です」が見当たらない
きっと書き忘れたんだな
パッパラ隊乙。
甘酸っぱいのう
呂美・涼子・良子・亮子・諒子・遼子