721 :本当にあった怖い名無し :2010/03/28(日) 17:50:58 ID:XJ816p2x0
高校時代の知り合いに関して気になるエピソードがあるので書き込ませてもらう。その知り合い(仮にAとする)は高校時代は別に親しくもなかったんだが、同窓会で急に親しくなってそれからよくつきあうようになった。
昔は根暗で人見知りだったAも、今では社交的で明るく、小さいながらも会社を経営している。
羽振りもよく、一緒に飲んだらよく奢ってくれるし、彼女も美人で申し分ない。
そのAと道でばったり会った。こっちが声をかけたら、Aはしばらく呆然としている。
疲れているのかな、と思って、今度また飲みに行こうと言って別れようとしたら、Aが俺の手を掴んだ。
「話したいことがあるんだ。その、おまえの会っているAについて詳しく教えてくれないか?」
何を言っているんだと思いながら、いつも奢ってもらっているので、近くの喫茶店に入った。
いつものAと違って、なんだか大人しく、覇気も感じられない。
昔のAを思い出させる。
「実は、俺じゃない俺が出歩いているみたいなんだ」
何を言っているのかさっぱり分からない。
Aは目の前にいるのに。
「おまえ、経営を誰かに任せて少しのんびりしたら?」
「そうじゃない。俺は会社経営者じゃない。ただのリーマンだよ。おまえの会っているのは多分俺じゃない」
「会社倒産したのか?」
「俺は大学を卒業してずっと雇われの身なんだよ」
722 :本当にあった怖い名無し :2010/03/28(日) 17:53:24 ID:XJ816p2x0
Aの話によるとこうだ。最近会ってもいない親戚とかからお礼の電話が来たりする。最初は生返事で誤魔化していたが、この間は両親から電話がかかってきて、彼女の両親に挨拶したいと言い出した。
「俺は仕事が忙しくて田舎に帰っていないし、法事にも顔を出していない。なのに、俺そっくりな誰かが、法事に出て親戚と雑談したり、両親の元に返って彼女を紹介したりしている」
目の前のAは、彼女なんていないし、彼女がいたこともないと主張する。
俺はからかわれていると思って、携帯のアドレスから、Aの携帯へ電話を入れてみた。
目の前のAから着信音が聞こえてくる。俺は呆れかえって溜息をついた。
「おまえ、ふざけるのもいい加減にしろよ」
「信じてくれないかもしれないけど、本当に別の俺がいるんだよ」
そう言うと、Aは名刺を出して、裏に電話番号を書き殴った。
「今度、俺に会っているときに、ここへ電話してくれ。別の携帯だ」
それでその場はAと別れた。
723 :本当にあった怖い名無し :2010/03/28(日) 17:55:08 ID:XJ816p2x0
その後、数日後にAから電話がかかってきた。声の明るさからして会社経営の方。
「契約が終わって祝杯を挙げたい気分なんだ。つきあわない?」
俺は先日のこともあって、少し迷ったが、どうせAが種明かしをするだろうと思って、つきあうことにした。
場所はちょっとオシャレなカクテルバー。Aは先に一杯やっていた。
「よお、久しぶり。今夜はおごりだ」
「契約お疲れさま」
俺とAはしばらく雑談しながら飲んでいたが、Aが種明かしをする気配はない。
軽く酔いが回った所で、俺はリーマンのAから手渡された番号へ携帯から掛けてみた。
目の前のAから着信音が鳴って、Aが、ばれたか、という顔を見せると思ったからだ。
Aから着信音は聞こえてこない。
でも、携帯は誰かとつながった。
「もしもし・・・・Aです」
それは紛れもないAの声だった。
なのに目の前では会社経営者のAが悠然と飲んでいる。
「もしもし、○○です。Aだね、確かに」
「そうだ。Aだ。もう一人の俺が、そこにいるんだね?」
724 :本当にあった怖い名無し :2010/03/28(日) 17:58:40 ID:XJ816p2x0
酔いは一気に醒めた。頭の中が混乱してきて軽く目眩がしてきた。「誰と話しているんだい?」
目の前のAが気軽そうに尋ねてくる。その笑顔がとても不気味に見えた。
「・・・・Aだよ。君と電話で話しているんだ」
目の前のAが怪訝そうな顔をする。電話の向こうのAはそいつと代わってくれと頼んでいる。
「僕と話している?」
「君と話したがっている」
「代わっても良いかな?」
俺は無言で頷いて携帯電話を差し出した。
Aはその電話を受け取り、話し出した。
気持ち悪くなった俺は席を外し、トイレで思いっきり吐き出した。
何がなんだか訳が分からない。多分、A達はもっと訳が分からないのだろう。
席に戻ったら電話は終わっていた。Aは小難しい顔をしている。
何を話したのか聞きたかったが、教えてくれそうな雰囲気でもない。
「帰ろうか」
目の前のAが言った。俺も同意した。
そしてそのまま別れることにした。
それからもしばしばAとは会っている。会社経営の方だ。結婚もしたらしい。
でも、あのバーでのことは話題に上らないし、俺も切り出す勇気がない。
今は録音機器も発達しているし、Aなら部下を使って悪戯も可能だろう。
いつかAが種明かしをする日を待っている。だけど悪戯じゃなかったら・・・・・
コメント一覧
イタい行動してふと冷静になると戻ってくるよ。
米3は間違って..
ともあれ双子ってことにしよう
そして、経営者のAが「やっと消えたか・・」(ニヤリ
お前みたいなのに一々説明するのはもううんざりだ
早く現れて両親を安心させてやってくれ
でも電話・・・
なんでもない、
そうだよな