321 :既にその名前は使われています:2008/04/30(水) 16:16:16.15 ID:DuTEdaPD
ジェリーが大人になった頃トムはもうこの世にいませんでした。
トムは自分の命の終わりがすぐ傍まで来ているのを知ったとき、
こっそりジェリーの前から姿を消しました。
ジェリーの前で弱って涙もろくなった自分を見せたくなかったのです。
トムはジェリーの心の中ではずっと喧嘩相手として生きつづけたかったのです。
トムがいなくなったのに気づいたときジェリーは悲しみはしませんでしたが、
退屈になるなと思いました。トムとの喧嘩は最高にスリルのあるゲームでしたから。
胸の奥が不思議にチクチクはするのですが、
それが何なのか、ジェリーにはよくはわかりませんでした。
トムの願い通り、ジェリーの心の中でトムはいつまでも仲の悪い喧嘩相手でした。
そんなある日ジェリーの前に一匹の猫が現れました。トムよりのろまで体も小さい猫です。
喧嘩相手のトムがいなくなって寂しかったジェリーは、
今度はこの猫を喧嘩相手にしようと考えました。
そこでジェリーは、穴のあいた三角チーズが仕掛けられたねずみ取りを利用して、
その猫に罠をかけることにしました。
いつもトムにしていたように。
ジェリーは物陰に隠れて、
ねずみを求めて猫がねずみ取りの近くに来るのを待っていました。
そして思惑通り猫が罠に向かって近づいてきます。
ジェリーはしめしめと思いました。
いつものように、自分がねずみ取りにひっかかるふりをして、
逆に猫をねずみ取りにかけてやるんだ。
うふふ。
322 :既にその名前は使われています:2008/04/30(水) 16:16:59.14 ID:DuTEdaPD
手か尻尾を挟んだ猫の飛び上がる姿が頭に浮かび愉快です。
でも、その猫はトムではありません。
猫はチーズの近くまで来たとき、
ジェリーが出てくるより早く美味しそうなねずみの匂いに気づき、
目にもとまらぬ速さで隠れていたジェリーに襲いかかってきました。
ジェリーはいつもトムから逃げていたように逃げましたが、
トムよりのろまなはずの猫にすぐに追いつかれてしまい、
体をガブリと噛まれました。
ジェリーも噛みつき返しましたが、
トムより体が小さいはずの猫は平気です。
血まみれのジェリーは薄れ行く意識の中で、
本当は鼠が猫と喧嘩して勝てるわけがないことと、
いつもトムはジェリーに「してやられた」ふりをして、
わざとジェリーを捕まえないでいたことを、
そのとき始めて知ったのです。
トムの大きな優しさと友情に気づいたのです。
そしてトムがいなくなった時の
胸の奥のチクチクの正体にも気づきました。
かけがえのない友を無くした悲しみでした。
ジェリーの魂が体を抜けた時、
空の上には優しく微笑みジェリーを待っているトムがいました。
「また喧嘩ができるね」
「のぞむところさ、今度こそは捕まえてやるぞ」
コメント一覧
うん・・・・まあ・・・・がんばれ。
久々に見ても泣ける(;´д⊂)
この米の流れでwうぜぇw
苦しくて何かに攻撃されてると思って逃れるために隠れるかららしいね
荒らすなよ クソ馬鹿
これ、おなごがそな口叩いたらいかん。
何度か見たコピペだけど、ここでは初出。
と号泣しながらカキコ。
(´;ω;)つ□
ハンカチ使う?
トムとの追いかけっこの生活に飽きたジェリー、昼寝しているトムの尻に書き置きを貼り付け都会へと行ってしまいます。
ビル街の景観やデパートの様々な品物など見たことが無いいろんなものを存分に堪能し大満足のジェリー
日も暮れて来て、適当なねぐらでも探すかと裏路地に入った瞬間妙な気配を感じます。
振り返るとじっとジェリーを見据える猫の眼が2つ4つ6つ8つ…
トムのそれとは別物の…明らかに殺る気のギラギラとした眼にジェリーは恐ろしくなり思わず逃げ出します
と、同時にけたたましい鳴き声を響かせ飛びかかってくる野良猫達
命からがら逃げ切りもと居た家に帰ると、目に入るのは家を出た時のまま、書き置きにも気付かず眠りこけているトムの姿。
すぐさま書き置きを破り捨てやっぱりここが一番だとばかりにトムに抱きつくジェリー。突然の意味不明なジェリーの行動に怪訝な表情のトム。
それ猫も生きてるじゃねーか
と真っ赤な目でレス