604 :本当にあった怖い名無し:2011/05/09(月) 16:37:37.45 ID:2pVpgqf2O
若い頃、登山が好きだった父の話怖くはないのだが、記憶に残っているので書いてみる
どこの山だったかは忘れてしまったが(本人に聞けば覚えている筈)、
単独で登山中、崖から滑り落ちた
「あ、こりゃアカンな」と思ったらしいから、それなりの崖だろう
しばし気絶していたようだが、幸いにして致命的な怪我はなかった
元の場所に戻るルートを探してさまよっていると、
一部が白骨化したカモシカの死体を見つけた
死体の腹部には木が刺さっており、父はそれを哀れに思った
抜いてやろうとしたが、なかなか抜けない
よく見ると、カモシカは立木に突き刺さっていた
ほっとけばいいのに、父は意地になりカモシカを抱え上げようとした
もちろん、一部が白骨化しているのだから、腐乱もしている
気持ちの悪い感触と匂いに、無理に持ち上げてしまえば
死体がぐちゃぐちゃになると諦めた
野生の動物なのだから墓を作って弔うのもはばかられ、
かと言ってほうって置くのも忍びないと思うと涙が出たそうだ
(父いわく、山は人を感傷的にするものらしい)
やがて父はカモシカの角を布に包み、持ち帰ることにした
なんで持ち帰ることにしたかは聞いていないから知らん
良いように考えれば弔いだろうし、ただの物珍しさからかも知れん
続く
606 :本当にあった怖い名無し:2011/05/09(月) 16:46:28.31 ID:2pVpgqf2O
続きで、再び帰る道を探していると、二頭のカモシカが現れた
またカモシカか、ここらはカモシカの住処なんだなーとか
考えながらじっとしていると、カモシカもじっとしている
一歩踏み出すと、一歩進む
ひょっとしてひょっとするか?とついて行く父(いわく山は人を敬虔にすry)
背中や肩を強打したせいで、ゆっくりとしか歩けない父を
二頭のカモシカは時折振り返りながら先導してくれた
やがて父はひらけた場所にたどり着き、無事に下山することが出来た
二頭のカモシカは父が登山道に出るまで、つかず離れず側にいたそうだ
父いわく、二頭のカモシカは大きいカモシカと小さいカモシカで
これは親子(夫婦だったかも)なのだと力説していた
つまり死んでいたカモシカの両親か親子だと言いたいのだろう
カモシカが先導した話は父の作り話かもしれないが
父が単独登山で割と大怪我をして戻って来たのは事実であり、
今もカモシカの角は実家に飾られている
終わり
コメント一覧
角はくれてやれ
飛車の方がよっぽど強いだろ 斜めにしか動けない角とか使い勝手悪すぎ
持ち上げようと思える様な死体から角を引き抜く……?(゚Д゚;
絵面としてかなり酷い事になってたんじゃなかろうか……