コピペ運動会

俺は今年から社会人になって実家を出て一人暮らしをしてます
姉ちゃんの結婚のことは去年聞いてたんだけど、その結婚式が先日あったわけ

姉ちゃんは既に旦那さんと暮らしてて、春になったら俺も実家を離れることになった
で、結婚式の準備やら俺の引越しやらでバタバタしてたんだけど
親父が俺に「姉ちゃんの結婚式でサプライズ的な何かをしよう」っていってきた

俺はあんまり気が乗らなかったんだけど、親父と弟がノリノリだったから了解しといた
で、しばらく社会人やってたら親父から「サプライズは弟と話し合った結果、バンド演奏をすることにした」と連絡があった
ちなみに俺も親父も弟も楽器をやってて、昔は家で一緒に演奏したりしてた

で、親父がギター＆ボーカル、俺がベース、弟がドラム、ｶｰﾁｬﾝが手拍子とパートが決まった
弟はまだ実家で大学生やってるから親父と相談して曲を決めるということになり
俺はまた社会人やってた
で、ゴールデンウィークに一日だけ帰ったときに曲が決まった

タイトルはわからないが、弟情報によると姉ちゃんが好きな曲だからと楽譜を渡された
親父が耳コピしてパソコンで作ってくれた楽譜だった
二曲やるってことで決まって、
俺は独り暮らしなのに自己練習することになった
ベースなのに

この曲が両方共なかなか良い感じだった
難しくもなく、でも退屈でもない感じ
楽しくなってきた俺は親父から渡された楽譜を元にアレンジなどを加えつつ練習していった
知らない曲で、ましてやベースなのに

ある日、会社で知り合った仲間とカラオケに行くことになった
みんな順番に歌っている中で、ある一曲で気がついた
俺が練習してる曲だと思われるやつを歌う奴が現れたのだ
それは「ふわふわ時間」だった

まさかアニメの歌だとは思わなかった
けいおんってアニメは何回か見たことがあったが気がつかなかった
その場でちょっと動揺してしまったが、家に帰って調べてみると間違いなかった
さらにもう一曲は「Cagayake!GIRLS」だった
ボーカルは親父である

で、一回みんなで合わせてみよう！ってことになって実家に帰った
弟は半分ニートみたいな大学生なので家にいた
親父に「アレってアニメの曲だよね？」と聞くと
「そうみたいだね。俺も知らなかったんだよ」と答えた
耳コピして楽譜まで用意したのは親父である
さらに、何十年もストラト一筋のはずの親父は何故かレスポールのスタンダードに持ち変えていた

弟に聞いてみると
弟がけいおんを録画してたやつを親父も観ていたとのこと
一期のみだが
そう、この親父ノリノリであった
合わせてみると俺のアレンジがあまりよろしくなく、やり直しになった

そんなこんなで結婚式当日まで自己練習とたまに帰ってセッションってのを繰り返した
さすが家族である
何回か合わせていくうちに殆んど完璧に近くなってきた
親父は「お前左で弾くのは無理かな？」とか言ってきた
母親は「うまくいくかねぇ」と心配そうだった

で、結婚式前日に俺は実家に戻った
さてちょっくら合わせてみるかというときに親父が俺に一本のベースを渡してきた
見てみるとフェンダー・ジャズベース62年モデル
マジモンのヴィンテージだった

まじかよこれ
100万くらいしちゃうやつだった
どーしたのか聞くと親父のストラトと交換したらしい
あんなに大切にしてたギターを手放すなんて…
この結婚式に懸ける親父の熱い想いが伝わってきた

いつもはスティングレイの俺は久々のパッシブの音色に酔った
不思議なもんで、ヴィンテージってのは甘い音が本当にするんだよ
親父のレスポールもカスタムが施され、もう本番はバッチリだった
しかも…手拍子という役割に不満を持っていたｶｰﾁｬｿもリズムとしてギターを弾く事になった
ドヤ顔でコードを鳴らしていた

そして当日
姉ちゃんには「ちょっと俺らで演奏すっから」くらいに言っておき控え室で軽く合わせていた
ドラムや機材は披露宴会場で用意してくれているとのこと
しかしここで問題が発生した
ｶｰﾁｬﾝが自分のギターを持ってき忘れたのだ
俺や親父のギターはトランクに積まれていたがｶｰﾁｬﾝのは無かった
ちなみに準備したのは親父である

まぁｶｰﾁｬﾝ抜きでも演奏はできるからいいかよか思って式は始まってしまった
なんか感動的なシーンとかたくさんあった
結婚てイイもんなのかもしれんとマジで思った
姉ちゃんが手紙を読むシーンで親父はガチ泣きしてた
そしてその後「ちょっと…」とかいって出ていった

向こうのご両親に渡したメモには「ちょっと準備があるんで外します」みたいなことが書いてあった
で、ジャストタイミングで親父が帰ってきた
手には真っ赤なムスタングが
これはジャパンのやっすいやつだった

そして披露宴が始まった
始まってすぐは俺たち家族も席に付いていて、新郎の友達の司会の人の進行にあわせてスケジュールは消化されていった
新郎の友人たちによるダンスでも親父は「ﾋｭｰ!」とか言ってた
で、ダンスの後俺たちの出番が北

司会「では、〇〇（姉）ちゃんのご家族によるバンド演奏です！」
俺たちは入場した
お客さんは大体30人くらいかな？
向こうのご家族も居た
親父「さっきはちょっとハプニングがあって席を外してすみません！こいつら（俺と弟）が不甲斐ないもんで〇〇（姉）ちゃんも許してね！」

俺も弟も親父をシカト
ｶｰﾁｬﾝはゲップをしてしまい「ｱﾗﾔﾀﾞ」とか言ってた
親父「改めまして、〇〇家食後のティータイムです！」
意味は分からなかったがなんかメチャクチャ盛り上がっていた
弟はバク宙を決めてからドラムに向かった

ここから親父のスピーチみたいのが5分程度続いた
親父「〇〇ちゃんを嫁に貰った〇〇くんは本当にラッキーだね！ね！母さん！」
ｶｰﾁｬﾝ「いいから！本当に！」←マイクが入ってない
親父「じゃあ聴いてください！」

ジャジャジャジャ！
一曲目は「カガヤケガールズ」

この曲は最初に楽譜見た時から気に入ってた
なんとソロ回しがあるのだ！
親父のギターもキレキレだったしボーカルも声が出てた
しかも歌詞がアレンジされてた
そのアレンジ部分は姉ちゃんが生まれたときのこととか親父と喧嘩したこととかだった

そして遂にソロ回し
最初は親父
もう原曲ぶっ壊しの超絶オナニーソロだった
ｶｰﾁｬﾝはそんな事できないので簡単にﾋﾟﾛﾋﾟﾛやってた
俺もアレンジで鬼のスラップ
弟は本当にこんなに上手かったのかってくらいのをやった

一曲目が終わった
姉ちゃんを見ると何か泣いてた
マジかよと思った
で、また親父のスピーチ
親父「〇〇ちゃんは喜んでくれたかなー？どうだったー？」
姉ちゃん「…」
親父「じゃ！次行きまーす！」

次は「ふわふわタイム」だ

信じられんかも知れないけど会場はすごく盛り上がっていた
で、また親父のスピーチ
しばらく喋ってから「じゃあ最後に俺一人でやるからお前らは下がっていいよ」と言った
何も聞いていなかった俺らは動揺したが
親父「これが本当のサプライズ！」とか言ってた
会場は盛り上がっていた

俺らはアンコールを裏切る形でステージを降りた
で、また親父のスピーチ
今までと違ってやたらガチっぽい
親父「〇〇くん、娘をよろしくお願いします」
新郎「はい！」
親父「良い返事！じゃあ皆さんもきいてくださーい！」

親父が独りで「プリティウーマン」を始めた

マジでこの演奏は心に残った
演奏もそうだし、英語の歌詞もかなりちゃんと歌えてた
気がつけば俺もｶｰﾁｬｿも泣いてた
親父も泣いちゃって声が出ないとこがあった
弟は「ﾋｭｰ！」とか言ってた

演奏が終わるとスタンディングオベーションで親父に拍手が送られた
姉ちゃんが飛び出して親父に抱きついてほっぺにチューしてた
親父「ばか！〇〇くんに怒られちゃう！母ちゃんにも怒られちゃう！」
ｶｰﾁｬﾝ「いやいや」
なんか俺がｶｰﾁｬﾝにほっぺにチューされた
嘔吐いいすか？
弟もステージ上がって調子こいてた

こんな感じ
ちょっとこの感動が伝わらないかな
結婚式って本当に非現実的というか何かイイもんなんだよ

>>110
親父はカナダ人だよ
ｶｰﾁｬﾝは日本人

盛り上がったとこだけ書いたからアレだけど
式自体は平凡なよくある結婚式だったよ
親父がちょっと金だして豪華にしたらしいけど
釣りっぽいって思うけど、結婚式って本当に不思議で割と何でもアリな感じなんよ
新郎の友人たちのダンスなんて全身タイツでモッコリだった