55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/03(木) 16:13:12.66 ID:zAt5EW6f0
そろそろ開店時間だ。真冬の冷たい雨が降りしきる中、俺は近所で軽い用事を済ませ、店に向かって歩いていた。
とりおり傘を伝って水滴が膝に当たり、身震いする。氷のような冷たさだ。
――雪になるかもな。
店の近くまで来て、ふと空き地を見ると、白い小さな子犬が雨に濡れてそこに佇んでいた。
「・・・捨て犬かな。」
俺のその、わずかなつぶやきを聞きつけたのか子犬が振り向き、
力いっぱいしっぽを振りつつこちらに近づいてきた。
俺を見上げる、真っ黒でつぶらな瞳。
体毛が雨に濡れて、子犬の痩せ細った体躯を露にしている。
「悪いな・・・もう開店時間なんだ。行かなきゃ。」歩き出す俺。
クンクン、と寂しそうに鼻を鳴らす声が遠ざかる・・・ああ、くそっ!
俺は駆け出した。犬の元へではなく、店に向かって。
「そら、食べな。」俺は持ってきた大きな肉の塊を、子犬の目の前に置く。
見たことも無いご馳走を前に、子犬は狂喜しつつ肉にかじりつく。
成長過程の食欲恐るべしというべきか、あっというまに平らげて、また俺の足元に擦り寄ってくる。
どうやら、まだ食べ足りないようだ。
「はぁ・・・わかったよ。ちょと待ってろ。ありったけの豚を持ってきてやるから・・・。」
と、その前に。
俺は携帯を取り出し、メルマガの作成をはじめた。
『本日、食材の都合によりお休みします。 荻窪店主』
コメント一覧
かと思った俺は末期
二郎かよこれ......