フォーラー・ネグレリア~脳が溶ける奇病を起こすアメーバ
1996(H8)年11月17日。佐賀県鳥栖市在住で、食品加工会社に勤める女性(25)は発熱を覚えた。
翌日は会社を休んだが熱は下がらず、19日になると熱は38.3°に上がり、頭痛・嘔吐がしはじめる。
近くの診療所へ行くとインフルエンザと診断され、投薬を受けその日は帰宅した。
ところが翌20日には熱が39.3°にまで上昇、頭痛と悪寒が一層ひどくなったため診療所に入院して点滴を受ける。
開けて21日になっても一向に熱は下がらず、意識混濁を起こしたため、久留米大学病院救命救急センターに昏睡状態で救急搬入された。
細菌性髄膜炎との見立ての元、治療が行われるも症状は改善しない。
22日になって脳髄液中にアメーバを発見し、原発性アメーバ性髄膜脳炎と診断が確定したが、
すでに女性は脳死状態に陥っており、そのまま快復することなく27日午前中に死亡した。発症からわずか9日目という急激なものであった。
死後、女性を病理解剖すると、脳は形状を保てないほど溶けていたという。
女性から検出されたアメーバは、フォーラーネグレリア(※ネグレリア・フォーレリとも)。
ヘテロロボサに属する自由生活性のアメーバで、 原発性アメーバ性髄膜脳炎 を引き起こす。
フォーラーネグレリアは河川や湖沼、温泉等の淡水に生息。25~35℃くらいの温かい水を好む。
日本をはじめオーストラリアやニュージーランド、アメリカ等世界中で発見されている。
ニュージーランドでは温泉のお湯に多く生息していることが知られている。
フォーラーネグレリアは1965年にオーストラリアで初めて報告され、
1960年代のチェコスロバキアや、2007年のアメリカなど、たびたび流行も起きている。
生存例はわずか8例程で、発症した場合の致死率は95%あまりにのぼる。
感染経路は、主に夏の温かい淡水で泳いだりすることでアメーバを含んだ水が鼻の中に入り、
鼻にある嗅神経へ侵入するというものである。ただし感染力自体はそう強くないので通常は感染しない。
感染後、脳内に侵入し組織融解酵素という肉質を溶かす液を出して脳を溶かし、それを栄養として増殖していく。
また、フォーラーネグレリア他好熱性アメーバ類は、その細胞内に重症肺炎を起こすレジオネラ菌を
抱え込む(宿主になる)ことがあり、合わせて感染者に危害を及ぼすことがあるという。
感染から4日~1週間程の潜伏期間の後、発症すると発熱・悪寒・頭痛、激しい嘔吐を引き起こし、
意識が混濁して発症からわずか10日あまりの短い期間で死に至る。。
発症後の有効な治療法は存在していないので、感染しないことが唯一の予防法といえる。
湖沼等の淡水やお湯を循環させている温泉等では、顔を水に漬けることを極力避けるのが感染を防ぐ手立てである。
冒頭の女性は日本で初めて報告されたフォーラーネグレリア感染例である。
しかし彼女には過去1月以内で海外渡航歴や淡水や温水プールでの水泳・温泉入浴・24時間風呂等、
感染が考えられる行動を確認することはできなかった為、感染経路は不明のままである…
2002年の国立感染症研究所による全国の温泉やスーパー銭湯など二百数十カ所で、
病原性アメーバやレジオネラ菌の調査を行い、60%以上の施設で原発性アメーバを発見した。
そのうち9%程がフォーラーネグレリアであったという。。
病原性アメーバ類は内風呂・露天風呂・ジャグジーなど、主として循環器を使用する温浴施設で多く発見されている。
温泉が人気で、温暖化や猛暑が厳しくなっている日本において、高い水温を好むフォーラーネグレリアへの感染が、
また起こったとしてもおかしくない状況であるといえる。
1996(H8)年11月17日。佐賀県鳥栖市在住で、食品加工会社に勤める女性(25)は発熱を覚えた。
翌日は会社を休んだが熱は下がらず、19日になると熱は38.3°に上がり、頭痛・嘔吐がしはじめる。
近くの診療所へ行くとインフルエンザと診断され、投薬を受けその日は帰宅した。
ところが翌20日には熱が39.3°にまで上昇、頭痛と悪寒が一層ひどくなったため診療所に入院して点滴を受ける。
開けて21日になっても一向に熱は下がらず、意識混濁を起こしたため、久留米大学病院救命救急センターに昏睡状態で救急搬入された。
細菌性髄膜炎との見立ての元、治療が行われるも症状は改善しない。
22日になって脳髄液中にアメーバを発見し、原発性アメーバ性髄膜脳炎と診断が確定したが、
すでに女性は脳死状態に陥っており、そのまま快復することなく27日午前中に死亡した。発症からわずか9日目という急激なものであった。
死後、女性を病理解剖すると、脳は形状を保てないほど溶けていたという。
女性から検出されたアメーバは、フォーラーネグレリア(※ネグレリア・フォーレリとも)。
ヘテロロボサに属する自由生活性のアメーバで、 原発性アメーバ性髄膜脳炎 を引き起こす。
フォーラーネグレリアは河川や湖沼、温泉等の淡水に生息。25~35℃くらいの温かい水を好む。
日本をはじめオーストラリアやニュージーランド、アメリカ等世界中で発見されている。
ニュージーランドでは温泉のお湯に多く生息していることが知られている。
フォーラーネグレリアは1965年にオーストラリアで初めて報告され、
1960年代のチェコスロバキアや、2007年のアメリカなど、たびたび流行も起きている。
生存例はわずか8例程で、発症した場合の致死率は95%あまりにのぼる。
感染経路は、主に夏の温かい淡水で泳いだりすることでアメーバを含んだ水が鼻の中に入り、
鼻にある嗅神経へ侵入するというものである。ただし感染力自体はそう強くないので通常は感染しない。
感染後、脳内に侵入し組織融解酵素という肉質を溶かす液を出して脳を溶かし、それを栄養として増殖していく。
また、フォーラーネグレリア他好熱性アメーバ類は、その細胞内に重症肺炎を起こすレジオネラ菌を
抱え込む(宿主になる)ことがあり、合わせて感染者に危害を及ぼすことがあるという。
感染から4日~1週間程の潜伏期間の後、発症すると発熱・悪寒・頭痛、激しい嘔吐を引き起こし、
意識が混濁して発症からわずか10日あまりの短い期間で死に至る。。
発症後の有効な治療法は存在していないので、感染しないことが唯一の予防法といえる。
湖沼等の淡水やお湯を循環させている温泉等では、顔を水に漬けることを極力避けるのが感染を防ぐ手立てである。
冒頭の女性は日本で初めて報告されたフォーラーネグレリア感染例である。
しかし彼女には過去1月以内で海外渡航歴や淡水や温水プールでの水泳・温泉入浴・24時間風呂等、
感染が考えられる行動を確認することはできなかった為、感染経路は不明のままである…
2002年の国立感染症研究所による全国の温泉やスーパー銭湯など二百数十カ所で、
病原性アメーバやレジオネラ菌の調査を行い、60%以上の施設で原発性アメーバを発見した。
そのうち9%程がフォーラーネグレリアであったという。。
病原性アメーバ類は内風呂・露天風呂・ジャグジーなど、主として循環器を使用する温浴施設で多く発見されている。
温泉が人気で、温暖化や猛暑が厳しくなっている日本において、高い水温を好むフォーラーネグレリアへの感染が、
また起こったとしてもおかしくない状況であるといえる。
コメント一覧
1979年に本邦第1例が報告されているようだね。
いいセンスだよな
いやあああああぁぁぁぁぁ
何でそんな本が手元にあるんだよ・・・
が載ってるけどたいして溶けてないな。脳死例で
ほとんど溶けてるような人がいたけど、そういうような
イメージしちゃった。
きょ…教授!!
学会なんて予稿読んで、興味ない発表スルーしたら、むしろ時間余るだろ。
治療法がない病気って怖い
エロモナス菌もなかなかだよな