485 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 20:32:15 ID:+Zeik23c
このスレを見つけたので書いてみる。もう十数年前になるが、レースにのめり込んでいた。
スーパーカップやエリア選手権など、全日本の一歩手前っていう感じのシリーズ。
成績はあまりパッとせず、それでも3年目にはランキング5位って所までこれたんだ。
成績が上向いてるのに比例して、極貧生活はフル加速w
田舎町で実家暮らしだったから、食うには困らなかったが遊ぶ金なんて1円もねぇ。
楽しみといえば給料日にはラーメン屋に行くって事ぐらい。もちろん彼女もいないし。
もうね、ローン・信販・サラ金あらゆる所の常連wでも夢をみていられたから、まぁ幸せだったのか。
昼は土方、夜は配送のバイトでなんとか凌いで来たが、でもそろそろ限界。
せっかくここまで来たのに、これからなのに、エンジンOHする金もない。
で、ワープロで企画書作ってスポンサー探し開始。
当時、今ほどバイク業界は冬の時代ではなかったと思う。でもブームは完璧に過ぎ去っていて
年々参加台数は減っていってる。
することもないから、休みの度に企画書持って地元の会社に飛び込みしてた。
そんなに大きくない街なんで、知人がいたり親父の知り合いだったり、結構ある訳よ。
そういうのが嫌なんで、関係のない所ばかり行ってた。
でも、そんな俺個人のつまんねぇ拘りに乗ってくれる企業なんて、あるはずも無い。
たいがい門前払い。中には応接室で話聞いてくれる所もあったが、金を出せとなると話は別。
「頑張って下さい。」は聞き飽きた。頑張ってるっつーの。
そんな中でも「○○タイヤ」という小さなタイヤ屋さんの先代の社長が、
俺の親父の事を知っていたらしく、タイヤを2セットサポートしてくれた。
なんでも、その先代の社長の息子=現社長が若い頃結構グレていたらしく、
親父に大層世話になった、と言っていた。 親父は当時市の民生委員をしていた。
そんな事をやりながら、開幕戦まであと2ヶ月をきった頃、その人と出会った。
雪がちらちら降っていたのはよく覚えている。
488 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 21:35:46 ID:+Zeik23c
今シーズン出れるかなぁと、不安になっていた。このままなら、2戦くらいで確実に潰れる。絶対ムリ。
途中で止めるくらいなら、初めからやらない方がいい。1~2年我慢して借金減らしてから
またやった方がいいか?なんて悩んでいた。
その日はめずらしく平日休みになって、前から目を付けていた車屋に行ってみたんだ。
今で言うチューニングショップ程ではないが、走り系の店で板金塗装も出来る店。
隣町のショップのチームに入っていたから、そこ以外のバイク屋にはもちろん行けない。
車なら関係ないだろうと思って、結構車屋には行ってた。
でも「バイクかぁ、ウチ車屋だからねぇ」 って必ず言われたな。
店に入ると、常連のようなお客さんが2人くらいいたかなぁ、でもいいやと思って
「社長さんいらっしゃいますか?」 と声をかけた。
で、色々とそのお客さんと4人位で話していると、どうやら他の人から聞いてたらしく、
印象が良かったのか、オイル交換と塗装するならブース使わせてあげると言ってくれた。
メッチャ嬉しかった。
で、そのお客さんの中のシゲさんという人が食いついて来て、バイクも大好きだと。
シゲさんはそこそこ金持ちで会社を経営しているらしく、ケンメリRとか持ってるエンスーな親父w
バイクのレースは生で見たこと無いから、ぜひ見たいと言ってくれた。
でも、シリーズ通して出れるか分からないことなどを正直に話した。すると
「出来なくなったらその時やめれ。可能性が残ってんならやれ」 と。
なんか背中を押してくれた気分。サバサバしててすげーいい親父w
これで4年目だ。25歳の早春だった。
491 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 22:38:06 ID:+Zeik23c
オイルとタイヤは何とかなった。でも金が無い。ホントに無いwスペアパーツの中からまだイケるシリンダーやらピストンやらで組んだエンジン。
足回りだってシール類とオイルだけ。真っ白のカウルに「○○タイヤ」と「○○自動車」のカッッティング。
そんな状況での第1戦。 ツナギもボロだ。
「おっいたいたwおお~い○○」
振り向くと、バイク海苔みたいなカッコのシゲさんと小学生くらいの男の子。
「どうしても見たいって言うから連れてきたわw」
って、恥ずかしそうにwktkしながらマシンをマジマジ見つめる親子w
でも良く見ると、男の子の歩き方がおかしい。
義足だ。
その時は聞くに聞けなかったが、あとで教えてくれた。
名前は「勇気」。 生まれつきインスリンが分泌されない、いわゆる糖尿。
3年前に左足を切断した。今はもうひょこひょこ走り回ってるらしい。
予選は確か11番手くらい。
「いや~シゲさん駄目だわw」 「せっかく来てくれたのにごめんねw」
なんて言ったのを覚えてる。
決勝はというと、やりましたよロケットスタート。
3列目から3~4番手くらいで1コーナーへ。路面温度が低くて2台くらい前でコケた。ペースも速くない。
これはイケる! と思ったが、ラスト3周最終コーナーの進入でいきなりロック。
焼き付き。 オワタ。
呆然と凹んでいる俺に勇気は 「凄いカッコ良かった」 と言ってくれた。
シゲさんはにこにこしてて、何も言わなかった。
493 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 23:33:14 ID:+Zeik23c
もうスカスカのエンジンしかない。どうすんべ?と思いながら、店に挨拶と報告に行く。
「シゲさんから聞いたわ。惜しかったなぁ。」 と。
「活躍できずにすいません。おまけにエンジン壊しちゃいました。」って言うと
「そんなの期待してないよwそんなんでウチは儲からんw」
「でもなぁ、お前のお陰でウチの若い連中も変わったんだ。草レースでちょっと早くて調子こいてた奴らが
お前の姿勢を見てみんな真面目にレースする様になった。それだけでもウチにとっては良かったよ。
何でバイクにサポートして俺らには何もしてくれんの?って今でも言われるけどなw」
って言われた時には泣きそうになった。
でももうシリンダーもピストンも買えない。クランクも終わってるのしかない。
「ああ、そういえばシゲさんが家に来いって言ってたよ。いつでもいいから来いって。」
何だろう? いい所見せれなかったからなぁ、会いずらいなぁ・・
なんて思いながら行ってみた。
シゲさんの家は電設工事の会社を経営している。3階建ての新しめの家で、一階がガラス張りの会社だ。
晩飯を食っていけと言うのでご馳走になった。
俺は酒が飲めないが、シゲさんは酒豪も酒豪w飲めなくなったらいつでも死ねると言うw
「自慢のガレージを見せてやる」
と言われついて行くと、ケンメリとロータスの何だかって車。ピカピカだ。
その傍らに古いXL250が。フロントがぐしゃぐしゃだ。
壁を見ると工具がきれいに掛けてあり、コンプレッサーやフライス盤もある。
その中に、小さなトロフィーと古ぼけた写真。 シゲさんだ。
「へぇ~シゲさん、オフやってたんだ?」
「あぁ若い頃なぁ。 でも事故ってから磨き専門だw」
写真の中のシゲさんは、今と同じ人懐っこい顔でにこにこ笑っていた。
496 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 00:21:35 ID:0IeTNVEV
「次はいつよ?」 とシゲさん。「一ヵ月後だけど、ムリだわぁ。」
もうね、なんて言っていいかわからんです。こんなに良くしてくれる人たちに恵まれ
しかし自分のふがいなさで期待に応えられない。自分でスポンサーになってくれって言っておきながら、だ。
弱いくせに酒が入って、色んなことを話したと思う。
シゲさんはにこにこと笑っていたのは覚えている。
勇気と一緒に風呂に入って、その晩は泊めてもらった。
10日くらい経ったある日、店に寄った。
活動中止の報告をするためだ。
店に入るとシゲさんがいた。
「あらっ、丁度いいトコにw」 と社長。
「今日マシン置いていけ。あと必要なパーツ、注文しとけ。1年分な。」
「???」
わけわかんねー。
「これはウチの店からじゃない。シゲさんからだ。そのかわりエンジンはきっちり組んでやる。」
シゲさんなんで?と詰め寄ると
「何よ、○○電設工事じゃ不満か?」
次の瞬間、俺は生まれてはじめて土下座した。声をあげて泣いた。
「一杯宣伝してくれやww」
シゲさんはいつもの様に、にこにこと笑っていた。
497 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 00:24:03 ID:0IeTNVEV
すまん。実はモタスポ板の全日本スレを見て思い出して打ってる。不慣れなんで、遅いが勘弁なw
498 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 00:27:26 ID:6Iu7DO8b
かまわん。そのまま書き続けてくれ500 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 00:39:14 ID:0IeTNVEV
後で社長に聞いた話だが、シゲさんにはもう一人息子がいた。生きていれば俺と同じくらいの歳らしく、事故で亡くしていた。
そう、あのXRだ。
それ以来シゲさんはバイクを降りた。いい車は持ってるが、あまり乗らずに、でも程度は極上らしい。
俺とダブったのかな、なんて思った。
で、諦めていたところにやっと勇気を授かり、夫婦で涙を流して喜んだそうだ。
だから勇気がかわいくて仕方がないという。
そんな勇気が 「またお兄ちゃんのレース見に行きたい。」
と言ったんだそうだ。
なんか背負うものが大きくなった。
そして、「○○電設工事」 のカッティングが増えた。
何とかマシンは間に合った。問題は人間だ。
シゲさんと勇気はまた来てくれた。 あ!し、社長!
「お前、勝つんだべな?」
「いやっ、あの、そ、そんな・・」
とは言えず、あたりめーですみたいな事を言ったような気がするw
でも予選は6位だったかな?トップとのタイム差は1秒以上あったと思う。
「わぁ~、うちの名前はいってる~ww」と勇気。
シゲさんはカッティングを見てにこにこ笑っていた。
502 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 01:16:32 ID:0IeTNVEV
迎えた決勝。まずまずのスタート。バイクが速い。トップにも引けをとらないくらい速い。
途中のことはあまりよく覚えていない。でもトップが見える位置でチェッカーを受けたのは
鮮明に覚えている。
結果は3位。初表彰台だ。
もう少しで勝てたかも、ってのと嬉しいのと混じってなんか複雑だった。
でもみんなの前で表彰台に立てたのは嬉しかった。
勇気がひょこひょこはしゃいでいる。社長も写真を撮ってくれている。
シゲさんはにこにこ笑っていた。
「惜しかったな~、行けたべ~?」 と社長。
俺の頭をつかんでわしゃわしゃしながら、
「でも、マシンがかっこ悪w」
「車よりおもしれーなw」
って言ってくれた。すげーうれしそうだった。
シゲさんがカウルを買ってくれた。社長は色を塗ってくれた。
ピカピカな俺のマシン。 TZ250。
もう足を向けて眠れませんよw
503 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 01:46:20 ID:0IeTNVEV
そんな調子でその年はシリーズを終えた。結果はランキング4位。結局勝てなかった。
表彰台もその一回きり。あとは4位とかリタイヤとか。
転倒だけはしなかった。まだカウルはピカピカだ。
店に挨拶に行く。今までホントに良くして貰った。
たぶん来年はこんな事はないだろう。全日本でもないのに、そんな面倒みてくれる筈も無い。
社長曰く
「来年チャンピオン取れ。そしてその次は全日本だろ。違うんか?」
「全日本に行ってもウチのステッカー貼ってくれよ。小さいのでいいから。」
何ていい人なんですかあなたは。
シゲさん曰く
「勇気がモトクロ乗り始めたんだ。ちっこいヤツ。お前みたいになりたいってよ。」
「一緒に走るんだってな。あいつに教えてやってくれや。」
もう涙は出なかった。
借金はまだ減ってない。キツい。でもこう言ってくれる人達がいる。
来年は絶対チャンピオン獲る。 マジで。
505 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 02:34:43 ID:0IeTNVEV
その年のオフシーズン、3月。勇気が入院した。社長から聞いて、あわてて病院へ飛んで行った。
奥さんが付き添っていて、話を聞いた。
このところ、あまり調子が良くないこと、幼い頃病気が判明した時に
医者からは成人は出来ないだろうと言われていたこと。
何か聞いたことがある様な気がする。
大人の、いわゆる贅沢病の糖尿とは違う、先天的なもの。
2~3日おきに人工透析に通い、好きなものも食べられない。
いくらカロリーコントロールしていても、徐々に蝕まれていく。
聞かなけりゃよかった。 勇気は弟みたいなモンだ。
「慌てて来たから何も買ってこなかったわ。何か欲しいもんあるか?」
すると勇気は
「帽子がほしい。」
「黄色いダンロップのやつ。お兄ちゃんが被ってたやつ。」
あれだ。表彰台に立つときに、タイヤサービスが用意してるやつ。
去年1個もらったが、無くしてしまっていた。
ここで、お前のために獲ってきてやるとか言えば良かったんだろうが、
確か言えなかったと思う。
貰えたらあげるよ、くらいだったな。
やる気は満ち溢れていたが、軽々しく勝つとかは言えなくなっていた。
今にして思えば、開幕戦が近づくにつれ、ナーバスになっていた。
今までのような80点主義的な走りじゃ、今年も絶対勝てない。
コケてもいいや位の勢いで、もうひとつ壁を越えないとならん。
開幕戦の1週間前に、勇気は退院した。
506 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 03:18:13 ID:0IeTNVEV
迎えた開幕戦。みんな応援に来てくれた。奥さんまで。なにげに思う。カウルはピカピカだ。
これがスポンサーの看板を背負って走るって事なのか。
「○○自動車」
「○○電設工業」
そしてキザなんだが、メーターの所に「勇気」といれた。
他人からダサいと言われた事もある。
スポンサーついてるの?いいねー。 と言われた事もある。
うるせぇ。もはや俺の家族だ。誇りだ。
お前らには絶対負けねぇ。
予選2位。人生初のフロントロー。2/100秒で負けたのを覚えている。
勇気はすごく喜んでくれた。
で、決勝スタート。やっちまったorz
スタートは得意のはずなのに、フロントあげちまったいw
もう何位なんだか分かりませんw
でも順調に追い上げ、結局3位でフィニッシュ。 悔しくてあまり笑えなかった。
それでも勇気に帽子をあげるとすげー喜んでくれた。
でかくてスポスポだがwずっと被ってたなぁ。
社長はそんな俺の心情を察したのか
「悔しいのは分かるが、冷静になれ。お前はあの集団から抜け出してトップに追いついた。
つまり、それだけの速さは持ってる。あとはその速さをどう使うかだ。タラレバは無いが、
スタートさえミスらなければ勝ててたよ。その手のタラレバは自身に変えることができる。
シゲさん、涙うかべてたぜ。」
って言われたのははっきりと覚えている。
シゲさんはいつもの様に、ただにこにこと笑っていた。
508 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 03:50:56 ID:0IeTNVEV
勇気は入院することが多くなった。その後の2戦くらい、遠征してたので勇気は来れなかった。
結果は4位と優勝。 やっと勝てた。
でも勇気もシゲさんもいない。嬉しかったが淋しくもあった。
その頃は携帯なんて今みたいに普及してなかったので、帰った次の日
仕事終ってからすぐに病院へ。 勇気は寝ていた。
いつ来るかと俺を待っていたが、疲れて寝ちゃったんだ。
俺は枕元に帽子とトロフィーを置いて、病院を後にした。
後でシゲさんが言ってた。寝てる間に来て起こさないで帰っちゃったから
何で起こしてくれないのって泣きじゃくったそうだ。
バイクに乗りたいって泣く事もあるらしい。
でも看護婦さんにトロフィーを自慢するそうだw
大丈夫だ。また元気に走れる時が来るよ。
そのときは一緒に走ろうな。いろいろ教えてやるからな。
漠然とそう思っていた。
その2週間後、暑い真夏の日 勇気は死んだ。
509 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 04:12:47 ID:0IeTNVEV
正直言ってそれからの事はあまり覚えてないんだ。人間て防衛本能かなんかで、本当に辛い事やきつかった事やなんかの記憶を
早く忘れさせるようにできてるってTVかなんかで聞いた事がある。
本当にそうなのかも知れない。
でも勇気の棺の中にダンロップの帽子とトロフィーをいれたのは覚えてる。
シゲさんが勇気の頭に被せてくれたのも覚えてる。
たぶんあのタレ目の、人懐っこい顔は一生忘れられないんだろうな。
それからもシゲさんは俺をかわいがってくれた。
レースの時には近くなら来てくれた。
後から社長から聞いたんだが、懐に勇気の写真を偲ばせていたそうだ。
俺の気が散ってはいけないと、黙っていたらしい。
いつもいつもただにこにこ笑っていた。
511 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 04:36:33 ID:0IeTNVEV
みんなの前で勝てた時は嬉しかった。勝って泣いたことなんてなかったけど、あん時ぁ泣いた。みんな泣いてくれた。
まわりから変な奴らと思われていたと思うw
それくらい嬉しかった。
ランキングはトップだ。次の最終戦で3位以内に入ればチャンピオンだ。
チャンピオン決めて全日本に行く。絶対に。
最終戦。予選は4位。なんかイマイチ。
力入りすぎてるなーと思いつつ、決勝スタート。
おっしゃ、ホールショットと思った瞬間、
ドン!
背中に激痛が走った。 突っ込まれた。
あまり覚えてないんだが、3台くらい絡んだらしい。
転がる俺の目の前を、見慣れたマシンが跳ねていった。
でも次の瞬間、他のヤツのマシンが降ってきた。
鎖骨と大腿骨の複雑骨折。 オワタ。
513 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 05:04:40 ID:0IeTNVEV
もうそれでレースは引退。今でも足は不自由だ。ゆっくり歩けば気づかれないが、走ると痛みが出る。
シゲさんと社長には世話になった。本当に世話になった。
返しても返しきれないくらいの恩がある。本当にありがとうございました。
それから土方もできなくなり、出稼ぎに出た。
今で言う派遣てヤツだ。
とにかく借金を返さんと。当時は結構給料良かったな。
地元を出る時、シゲさんに
「バイクはどうした?」 と聞かれた。
激しくコケたわりに、ダメージはひどくなかった。
でも直すのも馬鹿らしいし、金も無い。そんなバイク売れるはずもなくて
納屋に置いてある。と言うと
「じゃあ俺が買う。」
と言って100万ポンと。
ちょwちょっ、シゲさんアフォですか?20マソでも売れませんでしたよ?
「いいんだ。」
と言って、受け取れないって言うのに、無理やり売らされた。
あんたって人は・・
そのにこにこした顔が涙で見えなかった。
514 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 05:24:38 ID:0IeTNVEV
それから4年くらい車造って、今の嫁と知り合った。借金も返し終わる頃、結婚した。
で、俺の足が悪いのを見かねてか、北海道に行こうと言う。 嫁は北海道出身なんだ。
実家は事務機などの卸会社を経営している。女姉妹2人で跡継ぎがほしいらしい。
そんなこんなで北海道に来て数年たった去年の年末。
俺の親父から電話がきた。
シゲさんが亡くなったと。
年の瀬で忙しかったが、義父さんに無理を言って地元に帰った。
嫁もどうしても会いたいと言うので、2人で帰った。
お通夜には間に合わなかったが、葬式には間に合った。
社長も来ていた。
516 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 05:47:44 ID:e+gPQfAk
あれ・・・画面がみえない(/TДT)/517 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 05:53:59 ID:0IeTNVEV
肝臓ガン。マジかよシゲさん。酒にやられちゃったのかよ。
勇気が亡くなってからは、酒の量が増えたと奥さんが言ってたけど・・
「飲んで死ねるんなら最高だべやぁw」
って笑ってたシゲさん。 何も言わず、ただにこにこ笑ってたシゲさん。
発泡酒なんて飲むな。男ならビールだべ。 って言ってたシゲさん。
ごめん、俺いまだに味の違いわかんねぇよ。
葬儀のあと、社長と話をした。
「ちょっと来い」
と言われ、社長と会場を出た。
シゲさんの家だ。なんかガラス張りの事務所が光ってる。
俺のバイクだ。 ’93 TZ250。
キズひとつ無いピカピカの俺のバイク。 いや、シゲさんのだな。
もう枯れた筈の涙が溢れて止まらん。俺干からびるんじゃね?ってくらい。
嫁も泣いてた。わんわん泣いた。
俺が出て行ってからずっと飾っていたらしい。
「○○電設工事」
ってはいったバイク。ピカピカに直してあった。
近所の小僧どもが寄ってくるらしい。その度に
「かっこいいべ?乗ってたヤツ速かったんだぞw」
って自慢してたみたい。
シゲさんあんたって人は。
518 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 06:25:33 ID:0IeTNVEV
次の日、嫁と2人で勇気の墓参りに行った。近付いていくと、何やら墓石についている。
確かあれだよなぁ、何かなぁと思いながら近づいた。
「DUNLOP」
俺の帽子だ。 いや、勇気のだ。
濡れないようにビニールで包んである。
風で飛ばされないようにくっつけてあった。
兄ちゃんや父ちゃんとと会えたか?バイクのってるか?
教えてやれなくてごめんな勇気。ホントの兄ちゃんにたっぷり教えてもらえな。
シゲさんは半年くらい前から体調を悪くしたらしい。
わかった時にはもう手遅れだったそうだ。
病院では看護婦さんに、酒が飲みたいと言っていつも怒られていたそうだ。
今度来る時はアイスクリームいっぱい買ってくるからな。
お前大好きなのに、あんまり食べれなかったもんな。
シゲさんは何がいい? ビールか?焼酎か?w
こんな俺に、あなたたち家族や社長、○○タイヤさん、沢山の人達が良くしてくれました。
俺の一生の心の財産です。誇りです。
結果は残せなかったけど、代わりに多くのものを頂きました。
本当にありがとうございました。
519 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 06:34:29 ID:0IeTNVEV
いままで読んでくれたおまいらありがとう。朝になっちゃったなぁ。俺休みだけどw
全日本スレにスポンサーの話が出てたんで、思い出してしまった。
おまいらも見守ってくれている人がきっといる筈だ。
その人達を悲しませる事だけはしないでおこう、お互いに。
そんな俺も今年からまた、バイク乗ろうかなって思ってる。
スクーターかカブがいいな。
お互い安全運転で楽しもうぜ。
524 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 10:08:20 ID:+C5yJoyQ
乙でした 泣けた525 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 10:35:22 ID:Wyt7DLym
スーパーハカーにウイルス仕込まれたクソっ最近のウイルスはスゴイ>>496あたりまでクッキリ見えたのに
それ以降画面がぼやけてぼやけて クソっ!スーパーハカーめ!
526 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 19:37:09 ID:16g/gZp0
このスレ読んで初めて号泣した。いや、マジで。527 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 21:51:27 ID:WKMt/7aV
これは歴史に残るね。ありがと。ネットで、ましてや2chでなんだか・・と思わないでもないが、これも時代だろう。
勇気君、シゲさん、あなたたちに思いをはせる人たちがここにいっぱいいますよ。
コメント一覧
日本人の事故が続いてからレースは見ない
90のTZRこそ究極のスタイリング!
地方のレースでもネットに載るのに見当たらないぞ
そ う さ く
検索してそこまで出てきたのか?
てか、これが創作かどうか気にするのがコピペ運動会だよな
野暮だと思わんのかね
歴史に残る(笑)
涙ふけよ。
事実だろうが創作だろうが、んなこたあどうでもいい。
いい年してんのに泣けた。
他人の金を乞食みたいに当てにして
払わない奴に逆ギレしてる奴が
結局大した成績残せなかった話、であってる?
お前らだって小説とかアニメとか映画で感動するだろ?
別に感動すること自体は悪くないし、いい話じゃないか
創作だろうけどね
ありがとう
スポンサー入っている奴は本当メンタル強かった
腎障害の一番の原因が糖尿病なんだよね、先天的な1型糖尿病は2型みたいに完治もしない、一生透析しなきゃだめだろうな…
TZ250はレース専用車だし150万以上はしてとてもじゃないけど
当時高校生の俺には手が出せるシロモノではなかった
死ぬほど無理して中古のR1-Zが限界だった
なんか色々思い出して泣けたわ
>そろそろF1目指してみるか
クソワロタ
F1はそんな気軽に目指せる世界じゃねーよ
そろそろ何て言って行けたら苦労しない
F1ドライバーがどれだけ狭き門か知ってたらそんなふざけたセリフ言えねえよ
女のコピペみたいに願望の投影がない。
よってこれは事実。