857 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/20(月) 02:35:14 ID:up8fU6at
鬼の目にも涙と戦国時代でも死亡フラグな話本能寺の変後、金山城に撤退してきた長可が母に会うと、彼女はただただ、泣いていた。
彼女は夫である可成の死後、残った五人の息子を支えに生きてきたが、成利、長隆、長氏の3人が
本能寺で討ち死にしたと聞き何度も自害しようと思ったという。
しかし、長可と忠政が帰ってくるのを信じて待っていた。
「この世は生者必滅、まして武家に産まれたのなら尚のこと、
命を惜しみ恩賞に執着するのは家名を汚すだけでなく
子孫を滅ぼすことです。例え、女であっても武家の生まれならご存知のはずでしょう。
さぁ、泣くのは止めて、念仏を唱えてください。今は忠政の無事の帰還を、
そしてこれからは父上と3人の供養のために」
と、長可は母を諌めた。
だが、母は「昔の聖人である孔子も子に先立たれた時は涙を流したと聞きます。
天神様ですらそうです。まして、この乱世の末に子を失うことがどれだけ悲しいことか。
こうなる事が解っていればもっとあの子たちの顔を
よく見ていたし、暇乞いもしたというのに、信長公に召抱えられた嬉しさのあまり、
特に何をするこもありませんでした。
それに最近、あの3人から同じような内容の手紙が届いたのです。
―母上へ、お元気ですか?最近、妙に母上の事が懐かしく感じます。
実は、この夏の間に信長様は西へ向かわれるそうです。なので3人で暇を願い出て
母上に会いに行こうと思っています。
それではまた。―
あの子達にまた会いましょうと言える嬉しさ、今か今かと待っていた矢先に3人の討ち死にです・・・
3人の手紙を袖に入れてあの子達が恋しくなる度に読み返しているのです。」
と3人の手紙を長可に渡した。
その手紙を読んだ長可は咽び泣き
「早く奥へ入り、体を休めてください」と母を慰めた。
コメント一覧
家名や誉れも特にないんだから
まあ土着の百姓や一兵卒 という意味でも、大衆の方がたくさん死ぬとは思うけど
可成の妻=長可や蘭丸の母親って、信長の正妻の美濃にいた頃からの
侍女だっけ? 重野なおきの「信長の忍び」に書いてあったような。
蘭丸は文中にある成利ですね
あーそうなんだ。ありがとう。
子を思う母の心
そこに貴賤は無いんだよ