258 :本当にあった怖い名無し :2013/07/13(土) 10:27:05.57 ID:grKVCYA6P
昔の話なんだけど、夢に出てきて思い出してしまったので投下故郷では初盆に舟を海に流す風習がある
精霊流しと似てるけど別の行事
幼児なら寝そべることができそうな大きさの木製舟で
新しい白装束とわらじ、盆菓子や果物などを入れて
舟の周囲に枠を組んで多数の小提灯で飾り立てるんだ
流したときに提灯の火が燃え移って炎上したり舟が沈むと
とても縁起が悪いので提灯の飾りつけには細心の注意が必要になる
縁起が悪いとされているだけで特に何かが起こるわけじゃないけどね
俺が小さい頃に祖母が亡くなったので舟を流すことになった
我が家は祖父が器用な人だったので流し舟は業者に注文するのではなく
祖父が設計して造り、わらじも祖父が手編みしたものが入れられた
当日、波止場には漁船が来て流し舟を海に浮かべる作業をしていて
当時は漁師だった父もその作業を手伝っていると聞いていたので
近くへ見に行きたかったけど母に
「危ないからウロウロしないで。海に落ちたらどうするの」
と叱られて、しっかり手を握られていたため見に行けなかった
だから真っ暗な海を流れていく舟を眺めていたんだ
提灯で薄ぼんやり輝いていて綺麗だったんだけど
よく見たら他家の舟上で何か物色している黒い人影に気づいた
盆菓子や果物を食べてるんだな、と俺は思った
しばらくすると人影は軽い身のこなしで別の舟に飛び移った
物色して欲しいものが見つからなかったのか腹いせに提灯を叩いたから
その舟の提灯が大きく揺れて火が燃え移って炎上した
真っ黒で表情は見えないけど、なんとなく人影が笑ったように感じられた
259 :本当にあった怖い名無し :2013/07/13(土) 10:29:11.69 ID:grKVCYA6P
ここで俺は、やっと「なんで真っ黒なままなの?」って気づいた提灯の火に照らされたら普通は姿が見えるよな
でも人影は黒いシルエットのままで、俺は急に怖くなって
舟に誰かいるよって母に訴えたんだけど
「いるわけないでしょ。乗っていたら海に浮かべる前にわかる」
と笑われた。どうやら母には見えていないらしかった
でも人影が祖母の舟に跳び移ってわらじを手に取った途端に
「えぇ!?」って、びっくりしたような顔をしたんだ
後で聞いたら母には空中にわらじが浮き上がったように見えたらしい
俺には人影がわらじを手にとって履きたそうにしてるように見えてた
冷静に考えたら、人影がわらじを手にとっても位置的に
わらじを目視するのは提灯に阻まれて無理だったはずなんだけど
そのときは人影がわらじを掴んでいることが確信できたんだ
怖くて声に出せないけど心の中で
「お爺ちゃんがお婆ちゃんのために作ったんだからダメ!」
と思っていたら、なんでだか人影がこっちを見た気配がして
舟底にわらじを叩きつけ、そのまま怒ったみたいに提灯も叩かれた
でも提灯は少し揺れただけで蝋燭の火は燃え移らなかった
祖父が頑張って組んだ枠に、しっかり繋がれていたからだと思う
何回か叩いていたけど、やっぱり燃えなかったのが悔しかったのか
人影はピョンピョン舟を飛び移りながら遠ざかっていった
それだけのことなんだけど、小さい俺にとっては怖かった思い出
あれは自分の舟を用意してもらえなかった無縁仏だったのかな?
現在では環境保護がどうのこうのってことで
舟には何も積んではいけないことになったので
あの人影がきても、もう何も食べられないし着物や履物も手に入らない
そう思うと少しだけ可哀想な気がしないでもない
260 :本当にあった怖い名無し :2013/07/13(土) 10:39:14.47 ID:nBamrC/YP
>>259 乙 面白かったーーーーお爺ちゃんにその話したの?力作だったから大丈夫だったって
265 :本当にあった怖い名無し :2013/07/13(土) 13:42:30.15 ID:XrmXvAAF0
普通に面白かった。創作でも実話でも面白ければ満足だぜところで友達が盆に舟を流す地域に嫁入りしたんだけど終わった後に儀式かあるらしいじゃん
鬼火が飛ぶって話はきいたけど儀式の詳細は教えてくれなかったんだが知ってる?
金かかるし面倒くさいんだってな
268 :本当にあった怖い名無し :2013/07/13(土) 15:03:33.77 ID:grKVCYA6P
すみません、出かけていました質問をもらっているのでお答えだけしておきます
>>260
まだ小さくて怖いと思う気持ちが勝っていたため祖父には言えませんでした
今思えば教えてあげればよかったと思います
もう祖父も亡くなっているので何も言えないのが残念です
検索で出てくるものなのかと思って試してみたところ
舟っ子流しというのが見つかりましたが地域も様式も舟の形状も
まったく違います。あんなに豪華ではなく質素です
>>265
儀式。なんだろう。申し訳ないのですが心当たりがありません
舟を流した後、波止場で松の木片を燃やして
その炎から棒状の手持ち花火に火を移してから海に
我が家の舟が流れている方向へ花火をするというのはあります
269 :本当にあった怖い名無し :2013/07/13(土) 15:05:25.30 ID:grKVCYA6P
帰宅したとき清めとして玄関先に汐水を撒くのですがこれは舟を流す海から汲んだものでなくてはいけない
という、しきたりも7あります
汐水は波止場で販売されていますが駅弁とセットになってるお茶容器
というとイメージしやすいですか?
そういう容器に入っていて150円くらいです
花火と合わせても数百円程度の出費にしかなりません
玄関に汐水を撒くと塩分で床が傷みますので30分くらいしたら
真水で洗い流します。我が家ではそれで終了して宴会が始るのですが
家庭によっては何度も真水と空拭きを繰り返す人もいるようですので
そういう家庭だと面倒くさいかもしれませんね
流し舟のときに鬼火を見たことも俺はありません
人影を見たのも、あの時1度限りでした
あまり参考にならなかったらすみません
コメント一覧
見つからないようにという進化の方向性の一つだろ。
逆にテントウムシとかは逆に派手な色(警戒色)で狙われにくくなる道を選んだ。
そんなの、黒くなくたってどうせ見付けられないのに……
ヤツは半身黒タイツだろうJK