358 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/08/12(月) 18:37:01.91 ID:aPOzd4ar0
知り合いの話。その昔、盆で里帰りした時のこと。
まだ幼かった彼は、兄と二人で実家の裏手にある崖で遊んでいた。
と、いきなり兄が上を見上げたまま、口をポカンと開けて動かなくなる。
何を見ているのかと、同じように顔を崖の上へと向けた。
赤い女性が、崖の中腹に張り付いていた。
赤い帽子に赤いワンピース、ご丁寧なことにブーツまで真っ赤だった。
スカートから覗く白い腿が、妙に強く記憶に残っているという。
その他の特徴はあまり憶えていない。
女はスルスルと滑らかな動きで崖を登り続け、一番上まで達すると、
そのまま流れるように山奥へ姿を消した。
我に返った兄と一緒に、実家の祖父へ報告しに行く。
「真っ赤な女の人が崖を登っていったよ、変なの」
そう話した次の瞬間、祖父は怖い顔になり大声で詰問してきた。
「顔は、その女の顔は見ていないだろうな!?」
祖父の剣幕に驚きながらも、「見てないよ」と返事をする。
すると祖父は心底ホッとした風になり、
「今日と明日はもう裏で遊んじゃいかんぞ、目が合うといかんけん」
と真剣な表情で言った。
その年は結局、それ以上外で遊ぶことなく、家へ帰ったのだという。
359 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/08/12(月) 18:37:33.22 ID:aPOzd4ar0
「結局その後、あの赤い女をまったく見てないんだよね。アレが何だったのか、詳しく聞く前に、祖父ちゃん死んじゃった。
他の家族は全然知らないって言うし。
ただまぁ、見ていて気持ちの良い女性じゃなかったな」
現在は、兄も彼も自分の子供を連れて、そこへ里帰りするようになった。
子供らは幼い頃の自分達のように、崖で楽しく遊んでいるらしい。
しかし遊ばせる前に、兄弟は必ず崖を確認しているのだそうだ。
そこに赤い女が張り付いていないことを。
「よくわからんけどさ、目が合ったら嫌なことになりそうじゃない?」
そう言って彼は肩を竦めた。
コメント一覧
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まぁ他の大人たちが誰も信じずに聞き流してたのかもしれないが
ショタとか目があったら勘違いして拉致られるんだろ。
通常の三倍のスピードで崖登る奴だろ
祖父も自分も実態を知らないのに、目を合わせてはいけないって情報だけが子々孫々ループするっていう。
っていういじめだと思いますよ。
→ガキ大将格はあいつはもうだめじゃ…お前たちだけでも無事でよかった
→そしてアレの正体について昔語り→エピローグ
これ最近のテンプレ