386 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/06/13(日) 22:12:32 ID:DB6KDsWx
永禄6年(1563)、三河一向一揆の時のこと家康に背き一揆軍に参加したものの中でも、蜂屋半之丞貞次と言えば、当時の三河を代表する勇者として
有名であった。
蜂谷は背が高く力も強かったので、真ん中が太くなるように作らせた白樫の三間(約5.5メートル)槍に、
紙を投げつけるとサクっと貫くほど研ぎ澄ませた長吉の刃をはめこみ、、これを自在に振るった。
『半之丞の槍先に、誰が向かってこようか!』
蜂屋は常々、このように豪語していたそうだ。
さて、一揆とのある合戦で家康は攻勢をかけ、一揆軍は退却を始めた。この退却する軍勢の中に
蜂屋を見つけた家康は、その方に向かって駆け出した!当時家康21歳、血気にはやる若者なのだ
「蜂屋!戻れ!!わしと槍を合わせよ!!」
これに蜂屋半之丞、わしと戦おうなどとは何を生意気な、返り討ちにしてくれる!と、振り向くと、
そこにいたのは家康
「げぇッ!殿!?」
すぐさま回れ右、前かがみになって槍を引きずりながら、一目散に逃げ出した。
この、逃げる蜂屋に追いついたのが松平金助である。
「蜂屋半之丞!もどってわしと槍を合わせよ!」
「ぬ?家康様ではないな!?さっきは家康様であったから逃げたのだ。お主ならば容赦ない!」
と蜂屋、取って返すと槍を合わせ、たちまち鯨にモリを突き立てるように刺し貫いた。
この槍を引き抜いたところで、またもや家康が追いついてきた
「おのれ蜂屋め!勝負いたせ!!」
家康の声を聞いた途端蜂屋、勝利の余韻に浸る間もなく再び、槍を引きずりながら一目散に逃げ出した。
家康は陣に帰ってから
「蜂屋は自分から逃げ出すような侍ではないのに、私を見ると逃げて行ってしまったよ。」
と言った。この時家康、非常に愉快そうで、上機嫌だったそうである
有名な三河一向一揆、蜂屋半之丞逃げる、の一席。
コメント一覧
いざ元主君が現れると「殿とは戦えませぬ~」なんて感じで逃げ出したのか
善悪はともかく、覚悟が不徹底すぎるな。
家康自身、一揆を鎮圧した後、参加した部下を罪に問わずに帰属させてるしな。
それほど主従の結びつきが強い三河武士でさえ、一揆に参加させた背景が色々とあるんだよ。
でも江戸時代の庶民の価値観や日本人の精神性を知れる立派な歴史的、民俗的資料ですよね