918 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 07:12:14 ID:92wo+7V+
文禄の終り頃、宇和島七万石の大名となった藤堂高虎は、家臣の居相孫作・服部竹助・大木長右衛門を呼んだ。居相孫作は、高虎が羽柴秀長に従い、中国攻めに参加していた頃に召抱えた、但馬の土豪の次男である。
服部竹助は、そんな高虎に憧れて実家から飛び出し、そのまま高虎のもとに転がり込んだ同郷の士である。
大木長右衛門は、高虎が転々と主君を変え、近江をさまよっていた頃から若党として仕えていた男である。
いずれも高虎が無名に等しい頃から従っている、藤堂家最古参の男たちであった。
「ようやく、この高虎も大名としてデカい顔のできる身分になり、お前たちの苦労に報いることのできる立場になった。
そこでだ。この際、お前たちにそれぞれ千石を支給しよう!」
笑顔で宣言した高虎に、孫作は不満そうな顔を向けた。「な、ならば千五百石でどうだ!?」
竹助が、哀しそうな表情を浮かべてうつむいた。「うぬぬ…ならば二千石……」
「殿。」三人を代表して、長右衛門が不機嫌な声を上げた。「なんだ!何が不満だ!」
「千石も頂戴したところで、わしらに十人分の働きはできませんや。そんなら、わしらに下さるつもりの三千石で
百石の侍を三十人雇って下され。」(兎角拾人の働、壱人にてハ難仕得ば、百石づつにて三十人御召抱遊被候得。)
大名・藤堂和泉守の重臣として多大な知行を管理し、部下を使うことに追われるよりも。
軽輩でも良い、高虎の側近く仕え、侍・藤堂与右衛門の背中を追いかけていたい、というのだ。
「お、お前たち…」
三人の知行は元の六十石で据え置かれ、役目に応じて臨時収入の合力米があてがわれることになった。
その後、さらに高虎は出世し、伊賀・伊勢三十二万石の大大名となった。高虎は、また三人を呼んだ。
「これだけ家がデカくなると、古参にそれなりの待遇をせにゃ、若い者に示しがつかん。で、二千石でも三千石でも…」
「そんなら、茶なんぞすすって遊んで暮らせる程度に、もらっときましょうかね。」
三人は高虎の言葉をさえぎって言い、結局二百石以上は受けなかった。
ところで、この三人が『兎角拾人の働、壱人にてハ難仕』男たちだったかというと、大木長右衛門と居相孫作は、
高虎の各地での城普請の際、普請奉行を務めた。服部竹助に至っては、藤堂藩の飛び地二万石の代官を任された。
それでも一生を少禄で過ごし、高虎の側近く仕えた。そういう男たちだった。
コメント一覧
宇和島出身の自分が言ってみる。
なんか虎が次男襲ったらしい。
石投げて応戦したけど男達がいっぱい現れて
アッー!な展開でめでたしめでたし
らしい
別に悪いとかじゃなくて感想
投稿の曜日が毎回一緒だし
俺は歓迎だけど
むしろこういうコピペは面白いから好きだ
面白いコピペの人だ!みたいにならないの?
一人で両方やってんのかな。世界史は短くまとまってるけど
日本史の方は毎回長くてコメ欄で「誰かまとめて」って書かれてるイメージ
無駄にため込んでる成金守銭奴はボッシュートしろ
本人の終身雇用だけでなく子子孫孫まで雇用し続ける事をしないとな
部下には慕われてたんだな
「何度も主君変えてる」という点で人気が今ひとつの高虎さんだが実は主君を裏切ったことは一度もないよ。
主君が生きてるうちは滅私奉公の勢いで仕えてる。勤め先を変えるのは主君が死んでから。だから部下もついてくる。
まぁ主君の子に仕えたりはしないので「主家に仕えるのが美徳」って言う人たちには受けが悪いが。
ちなみに7回主君を変えたが、実は可児才蔵さんの方が多い(8回)。