580 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 13:28:42 ID:UPakxgY5
男が尾張岩作の安昌寺を参拝したついでに、池田恒興の供養塚を見に行くと、畑の外れに塚が立っていた。「勝入(恒興)が討ち死にしたのは、畑の中に陣取っていた時じゃなかったのかね?」
男は近くにいた百姓に聞いたが、
「へぇ、確かにその向かいの畑ン中でしたが、そこに塚なんぞ立てても、わしらの収入が減っちまうんでね。
そんなこと言ってたら、後の世の人間が『当時は、そんな細かいこと気にしてたのか』って笑いますぜ。」
まさかと思った男が森長可の供養塚に向かうと、案の定これも実際の死に場所から五、六反(約11m)離れている。
男は、これについても百姓に問い質した。
「確かに長可公の遺体が、ここに落ちてたんで立てたんですがねぇ・・・」
「いや、長可が眉間を撃たれて落馬した時、家臣が遺体をかついで逃げたんだ。そこに本多八蔵が追いついて、
置き去りにされた遺体から首を取ったのさ。だから、実際に死んだのは五、六反ほども向こうだよ。
オレは、それを見たんだから。」
「お侍さん、面白ぇこと言うなあ!」百姓たちは、男の言葉に笑った。
笑い事では、なかった。
男の名は、丹羽氏次。尾張岩崎城主である。長久手の戦いの時は、徳川軍の先鋒に加わり、城を留守にした。
主不在の城は池田軍に攻められ、留守部隊は良く守ったものの、森長可の突撃を受け、落城。
城を守っていた氏次の妻の兄・加藤忠景、実弟の氏重など留守部隊三百の兵は、長可に皆殺しにされた。
一族の仇、『鬼』と呼ばれ世を騒がせた男が風化して行く現場を見た氏次は、複雑な思いで長久手を去った。
584 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/06/26(土) 21:14:17 ID:qn+ejkgu
名誉もまた儚いものなんだなぁ
コメント一覧
「今生きている」武士にぶった斬られるかもしれない百姓からしたら
田畑のど真ん中で昔の武士が何人くたばろうが、そこで耕作の邪魔にしかならん
塚なんか作る義理なんな無いわな
マジか!?
遺体を埋めたところのバラの成長が良くなった
というミステリーのアイディアを思いついた
落武者狩りは、最終的に負ける側の武士を判別してブチ殺さなきゃならないから
戦の勝敗を見通す大局的視点が不可欠で、実は非常に高度なビジネスだって、
野伏せり兼業農家のご先祖が言ってた
怪奇生花店乙。
怪我してて介錯頼まれたとか言えば確かめようもあるまい
解釈の違いってか