こぶたちゃん
コピペ投稿者:名無しさん
投稿者ID:RJah9w57
コピペ投稿日時:2014/08/17 23:23
コピペ投稿日時:2014/08/17 23:23
175 名前:こぶたちゃん 1/5[sage] 投稿日:2009/12/27(日) 20:58:12 ID:dDaAVxOk0
午前6時。室内に目覚めのベルが鳴り響きます。 こぶたちゃんは眠い目をこすって、お日様の匂いがする柔らかい寝藁から這い出しました。
共同の洗面所で順番に顔を洗って、もちろん歯磨きも忘れずに。
寮母のおばちゃんが用意してくれた美味しいご飯を食べれば、今日もお仕事の始まりです。
こぶたちゃんたちはお弁当を作る工場で働いています。
揚げ物の係やおかずを詰める係は、こぶたちゃんたちの憧れの的です。
熱い油を使う揚げ物は危ないし、仕上げが上手にできなければ商品になりません。
サイズの少し大きな白衣と白い帽子で全身を包んだ新米のこぶたちゃんは、サンドイッチの
箱を組み立てる係をしています。
単純ですが、これがなければ商品をお客さんに届けられません。
組み立てるそばから、別のこぶたちゃんがどんどん運んでいきます。
歪まないように、シワができないように、焦る気持ちを抑えて、こぶたちゃんは終業まで箱を
組み立て続けます。
いつか、揚げ物係を任される日を夢見て。
こぶたちゃんは、同じ頃に生まれた他のこぶたちゃんと一緒に、乳離れした数ヶ月前に農場から
連れて来られました。
最初はお母さんが恋しくてこっそり泣いた夜もあります。
でも今は平気です。だって工場のおじさんたちはとても優しくて、まるでお父さんがいるみたい
なのです。
仕事のやり方を丁寧に教えてくれて、決して怒鳴ったりはしません。
失敗をすれば叱られますが、こぶたちゃんはそれが怖いとは思いません。
一生懸命やれば褒めて貰えます。頑張った結果、キャベツを切る係を任されたこぶたちゃんもいます。
誇らしげに包丁を操る仲間を見て、こぶたちゃんたちは大層羨ましがったものでした。
177 名前:こぶたちゃん 2/5[sage] 投稿日:2009/12/27(日) 21:00:14 ID:dDaAVxOk0
ある日のこと、先輩のこぶたちゃんたちが工場長さんに呼ばれました。 そしてそのまま戻ってきませんでした。
聞けば、選ばれたこぶたちゃんだけが、他の工場に行けるそうです。そこはこの工場よりももっと
大きくて、たくさんのこぶたちゃんが働いているのだとか。
体が大きいこぶたちゃんが選ばれると、工場のおじさんが言っていました。
お腹いっぱい食べて元気に働けば、良い筋肉がついて体が大きくなるのだと。
食堂でみんながもりもり食べていたのには訳があったようです。もちろん栄養たっぷりで
美味しいからというのもありますけどね。
こぶたちゃんが工場に来てもう一年が経ちました。すっかり一人前になったこぶたちゃんは、
揚げ物係をしています。
時々油が散るので、小さなやけどはしょっちゅうです。最初はちょっと怖かったけれど、もうすっかり
慣れました。
こぶたちゃんが毎日揚げているのは、カツという名前だと教えてもらいました。
大きなカツに衣を付けた物がバットにたくさん入っています。それをトングでそっと掴んで、熱々の
油の中に滑り落とします。
きつねいろにカリッと揚がったのを見計らって、素早く取り出します。
もう衣を剥がす失敗はしません。すべてのカツを同じ具合に揚げられます。
後輩から憧れの眼差しで見つめられるのを、こぶたちゃんはくすぐったいような気持ちで受け止めるのでした。
178 名前:こぶたちゃん 3/5[sage] 投稿日:2009/12/27(日) 21:01:25 ID:dDaAVxOk0
それは晩御飯を食べていたときのことでした。今日は珍しく残業で、こぶたちゃんと友達のこぶたちゃんは 二人だけ遅くなってしまったのです。
しんとした食堂には、こぶたちゃんたちとおばちゃんしかいません。
小さな声で話しながら、こぶたちゃんたちはおばちゃんに温めて貰った食事を頬張ります。
空いたテーブルを拭いていたおばちゃんが、ふいに手を止めました。でも、こぶたちゃんたちは
おしゃべりに夢中で気づきません。
おばちゃんは辺りを見回すと、意を決したような顔でこぶたちゃんたちに近づきました。
何事かと顔を上げたこぶたちゃんの側にさっとしゃがんだおばちゃんは、声をひそめてこう囁きました。
「あんたたち、早くお逃げ」
キョトンとしているこぶたちゃんたちにもう一度同じ事を言うと、おばちゃんはそそくさと調理場に戻って
しまいました。
こぶたちゃんたちは互いの顔を見合わせ、意味が分からずに首を傾げるばかりでした。
翌日、こぶたちゃんはいつものように顔を洗って食堂に行きました。
新鮮な茹で野菜と飼料が入ったトレーを受け取ったとき、ふと調理場に昨日のおばちゃんがいないのに
気づきました。いつも笑顔で朝の挨拶をしてくれたのに、風邪でも引いたのでしょうか。
次の日もその次の日も、おばちゃんはいませんでした。
心配になったこぶたちゃんが他のおばちゃんに聞いた所、里のお母さんが急に病気になったそうで、
食堂の仕事を辞めて看病することになったそうです。
その話に頷きながら、こぶたちゃんはおばちゃんの言葉を誰にも言えないでいました。
逃げろと言われても外に出た事すらないし、こんなに頑張っている仕事からどうして逃げなければならないのか
分からなかったからです。
179 名前:こぶたちゃん 4/5[sage] 投稿日:2009/12/27(日) 21:02:41 ID:dDaAVxOk0
それに、何となく黙っていた方がいいような気がしたのです。工場のおじさんにも、もちろん他の こぶたちゃんたちにも。
優しいおじさんを困らせたくはありません。せっかく憧れの揚げ物係になれたのにお仕事を放り出すだなんて
想像もできません。
けれど、やっぱりぼんやりしていたのでしょう。こぶたちゃんはうっかりカツを焦がしてしまいました。
叱られてしょんぼりしているこぶたちゃんに、おじさんは何か悩みがあるのではと聞いてきました。
あの食堂のおばちゃんの言葉を話してもいいものでしょうか。こぶたちゃんは随分迷いましたが、意を決して
洗いざらい喋ってしまいました。
おじさんの顔が曇ります。友達のこぶたちゃんと聞いたから間違いないと言ったこぶたちゃんに頷き、
気にするなと頭を優しく撫でてくれました。
そしてみんなが動揺するといけないので、このことは二人だけの秘密にしようと念押しされて、持ち場に戻りました。
翌日。こぶたちゃんは工場長さんに呼ばれました。
急いで向かってみると、詰め所には他にもこぶたちゃんたちが集められています。
その中に、先日一緒に残業をした友達の姿を見つけ、こぶたちゃんは小さく手を振りました。
工場長さんは、みんなの顔を見渡し、ひとつ咳ばらいをしました。
そして重々しい声で、ここにいるこぶたちゃんが、このたび別の工場に行くメンバーとして選ばれたと告げました。
こぶたちゃんたちから歓声が上がります。無理もありません。夢にまで見た場所に行けるのですから。
どんな所でしょうか。工場内は広すぎて向こうが見えないのかもしれません。
こぶたちゃんもたくさんいて、お互いの顔を覚えきれないかもしれません。
工場長さんは、こぶたちゃんたちが落ち着いたのを見計らって、早速白衣を脱いで
シャワーを浴びるようにと言いました。向こうでは新しい衣を着るのだそうです。
何から何まで用意されているだなんて、大きな工場はどれだけすごいのでしょう。
180 名前:こぶたちゃん 5/5[sage] 投稿日:2009/12/27(日) 21:04:22 ID:dDaAVxOk0
てんでにシャワーを浴びたこぶたちゃんたちは、石鹸の香りを漂わせ、会社のロゴが入ったトラックに 次々乗り込みました。
最後に外から扉が閉められ、エンジンが掛かると、トラックはゆっくりと工場を後にします。
窓から笑顔で手を振るこぶたちゃんたちに手を振り返しながら、工場のおじさんは小さく呟きました。
「じゃあな。また明日」
終
結構長くなってしまった。ごめん。
万○ツのサンドイッチのパッケージを見ての創作です。
おいしいよねあれ。
コメント一覧
文章が読みやすくて読んでしまった
ホラー(笑)とか8月に便乗した戦争コピペよりはよほど面白い
No.33260
No.18156
No.6836
で済む話をなぜここまで長い駄文に仕立てたのか
番長bigでロボットの足が出たとき「それ確変間違いなしっすよ!」って興奮気味に話かけてきた白い特攻服着た子豚ちゃん、今何してるかなあ
たーぬきっ
きーつねっ
ねーこっ
どんなひねったオチが待ってるんだろう
…と思ったらそのままだった
最後に裏切られて殺される子豚と
親から引き離され、1日にきゅうり1,2本という薄給で強制労働をさせられるが
殺されることはない河童の子供(No.34209)と
果たしてどちらが幸せだろうか
国語の教科書に載ってた話で
マドンナBが死んだ家畜に手を入れて
「温かいわ、本当に温かい」
みたいなセリフを言うシーンは、30越えた今でもまだ覚えでる。