619 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/20(金) 23:21:10.82 ID:sZLh3To0
尼子経久は領内各地で多くの勇士や腕が立つ者を募集していた。募集に応じて多くの者が集まり、皆腕を競い合った。
その中に松吉、周りからは鬼吉と呼ばれる大男がいた。
松吉は身分の低い百姓の出であったが、六尺五寸ほどの巨躯の持ち主で、鬼のように恐ろしげな容貌を持ち
素手で木を引き抜き、槍を同時に五本振り回し、矢を十本同時にへし折るほどの怪力の持ち主だった。
だが、その豪勇の割に無口で大人しい男であり、何を聞いてもまともに受け答えが出来なかったため皆からは馬鹿にされていた。
経久はこの大男をとても気に入り武士に取り立てようとした。
だが松吉は幼い盲目の妹がいることを理由に断ったため、経久は松吉に心ばかりと米俵を与えすんなりと帰させた。
部下にはそれを咎める者もいたが、経久はよいよいと言い、小気味よさげに見送った。
何年か後、経久は松吉のことが気になって部下に調べさせたが、既に亡くなったという非常に残念な報告が届いた。
松吉が住んでいた周辺は完全に経久の勢力圏で戦もなかったため、どうしてあの豪勇の士が死んだのか
経久は疑問に思い部下に松吉のことを再度調査をさせた。
すると、松吉はその性格ゆえか村人達に非道な虐めにあって殺されたばかりかその亡骸は辱められ
盲目の妹は慰み者にされたあげくに殺されたとの惨たらしい報告が届いた。
豪勇の士を遇することを知らぬ者達のあまりの仕打ちに烈火の如く怒った経久は、即座に虐めの首謀者らを捕らえ打ち首にし
その首を松吉の墓前に供えて霊を丁重に弔ったという。
コメント一覧
昔話っていうな
賞品つきの相撲大会や腕自慢大会をひらき、そこで目をつけた者に声をかける。
単純に賞品が欲しいだけの者もいるだろうし、あわよくば仕官の話でも貰えれば、という者もいる
桁外れの能力があっても、「オラが仕官なんて大それたことあるわけねぇべ」っつー奴は、そうでもしないと網に引っかからない。
ま、人材発掘の一つの方法だな。
いじめるのは躊躇しないか? たとえ大勢で寄って
たかって攻撃するようなドクズであっても。妹さんを
人質みたいにされたのかなあ。
読み始めたとき、松吉っていわゆる知能障害で身体が
異様に成長したタイプなのかなと思ったけど、いじめ
した連中のほうが判断力も道徳もない脳障害だわ。
コミュ障は死ねってことだよ
はよ