469 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/03/03(火) 00:35:15 ID:RBcCZQ7L
里見義弘が、かねて争っていた隣国の大名と講和し、盟約を結ぶため国境へと向かった。その折の事である。
彼が四、五人の郎党達と共に城下を出でて、三里ほどすすみ山間の道に入ると、谷を隔てた場所で
どこからともなく長さ十丈(約三十メートル)あまりの大蛇が現れ、そこにいた大きな牛を
一口で飲み込んでしまった。
里見の君臣は「なんというすさまじい光景だ」と、しばらく馬の足を止めそれを眺めていると、
牛を飲み終わったかの大蛇は谷へと下って行ったが、不思議な事にこの大蛇、下るに連れて
その姿を小さくし、谷底に着く頃には、ようやく一尺(約三十センチ)ほどの蛇となってしまった。
そしてこの蛇は草叢へと隠れようとしたが、空を飛んでいた鳶がこれを見つけ、急降下して掠め取り、
二町ばかり先の辻堂の屋根でたちまち喰ってしまった。
家臣たちは「これは一体どういうことなのか」と、この不思議に困惑していると、
義弘は、はっと気がつきこう言った。
「つまりこういうことだ。この大蛇が始め、十丈の時は大きな牛も呑み込んだが、変形する通力を
使ったのであろうが、一尺の蛇となっては、鳶にすら喰われてしまう。
これは蛇だけの話ではない。人にも大身小身の別がある。大身は大身なりの威を用い、
小身も小身なりの力を尽くす。大象兎径に遊ばず、鸞鳳鶏雀と群れを同じくせず、と言うではないか。
ところが、今日我々は会盟に、このわずかな人数で挑もうとしている。
これは大蛇が小蛇となって草叢に遊ぶのと同じ事ではないか?
先ほどの事は我等が氏神、八幡大菩薩がわしを守るために見せてくださったのであろう。
もし今回の会盟で何事か変事あれば、この少人数では何も出来ないという事を悟らせるためにな。」
そうして義弘たちは城にとって返し、しっかりとした共揃えを整え、再び会盟へと出発した、
とのことである。
コメント一覧
………それでどうなったのだ?盟約とやらを結べたのか?
「ほれみいガッツリ合戦の準備しとるやんけ!!」