674 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/07/12(金) 20:10:02.04 ID:XFzDdm9d
南龍公・徳川頼宣は天下の人が仰ぎ見る勇猛な人であったが、ある時、紀州藩の附徒歩の衆に盗みをしたものが在り、頼宣はこれを庭前に引き出させると、自ら業物を
抜き放ち、袈裟懸けに斬って捨てた。
そして徒歩頭の水野甚三郎を諸士並み居る中に呼び出し
「甚三郎!自分の組下にこのような悪人が居ることも知らぬ愚か者め!
汝もこのように罪人を斬って見せよ!」
と、怒鳴りつけた。
甚三郎は主人と言えども、諸人の面前でこのように辱められたことに強く憤り、頼信が
奥殿に下がった後、感情が爆発した
「親の心すら子知らず、という!ましてや組子の心の中など知る事ができるだろうか!?
なんと無理なことを仰せ付けられるのだろう。
侍に対しこのような辱めを受けた以上、御奉公も今日これまでである!面白からず!」
そう叫びながら脇差で髻を掴んで切り払い、家にも帰らず和歌山城下を立ち去った。
翌朝、頼信はこの甚三郎の小舅である、水野淡路守重良を召し出し
「淡路!其方の親類であるが、徒歩頭の水野甚三郎はよくよくのたわけ者である!
私の耳に入るまで、組下の者が城下にて盗みをいたすを心得ず、私がその者を手討ちにして
恥ずかしむれば、主に暇をとって立ち退く有様である。
淡路、汝の親類であるぞ!いかに心得るのか!?」
そう言って淡路守を叱責したが、淡路守重良も甚三郎の小舅であるので申し開きをすることも
憚られ、ただ頭を伏して当惑するのみであった。
その時、傍にあったのは徳川家康によって頼宣に付けられた安藤帯刀直次であったが、
彼は頼宣が淡路守を責めるのを聞くと、こう、声を上げた
「淡路守殿!甚三郎を呼び戻されよ!」
淡路守は御前であるのでとかくの返事も出来なかったが、帯刀は再三同じ言葉を繰り返したため、
頼宣も気に触り、彼の方を見て言った
「帯刀は何と心得てそのように言うのか!?組下に悪人があるのを知らず、それを咎めれば
主に暇をとって立ち退くような奴を、戻す道理などあるものか!」
帯刀、頼宣に向かって
「親の心も子は知らず、まして組子の心など、頭が知れるわけがありません!
これは無理なご批判でござる!」
しかし頼宣は納得しない
「帯刀は知らないのか!?権現様(家康)の時代、徒歩の者が奥女中に文を遣わすという
罪を犯した。そしてその罪で徒歩頭の松平若狭守は改易になったのだ。そのような先例もあるのだぞ!」
これに帯刀は立ち上がり、頼宣を睨みつけ、大声で怒鳴りつけた
「権現様も、凡夫ではありませんか!決して仏でも神でもない!
親のしたことであっても、阿呆なる事まで子は学ぶべきでしょうか!?」
(権現様も凡夫にて御座候ぞ、佛にても神にてもなし。
親のしたる事にても、あほうなる事は子はまなぶ物にて候歟)
そう言い放つと御前を退出した。
(徳川武士銘々伝)
安藤帯刀直次の、強烈な諫言についての逸話である。
コメント一覧
直属の上司がどこまで部下の尻拭いをすべきかみたいな話だけど
当時でも現代でも多少のペナは受けろって風潮だし
帯刀の言葉は単純に家康disってるだけだし
なんかもやもやするんだけど。
誰か助けてくれ
ものには限度と言うものがあってだな
いくら部下の不始末の尻拭いだとか監督責任とか言ってもあまりにも重すぎる処分や限度を超えた責任追及は阿呆のやることだと言う話
ちょっと早いかな、ぐらいがいいと思うよ
それを通り越すとジューシーさが無くなって飲み込みにくくなる
だから、ガムで言うと「まだ味あるけど……」のタイミングで丁度いい
個人的にはそのルールで長年やってる
限度があるのはもちろん分かるけど
水野に対してのコレって重いのか?
現代なら厳重注意みたいなレベルでキレて
バックれるとかなかなか酷いぞ。
そういうもんか...なんかケツの穴ちっさいなと思っちゃうわ(´・ω・`)