448 名前:番外編:ある騎馬武者の話[sage] 投稿日:2015/07/26(日) 21:35:36.70 ID:eyZ380dP.net
『相馬野馬追』は、その名の通り相馬氏領で行われる神事であり、平将門が下総相馬郷において
野生馬を追って軍事訓練をした事に始まるとされる、古式ゆかしい祭りである。
慶長7年(1602)、相馬義胤が江戸より改易の報を受けとったのも、野馬追の最中であったという。
「それがし北郷が組頭、中橋安彦!供養のため畏れながら、北郷騎馬先頭組頭として本年も
出陣させていただきます!何とぞ御加護を賜りますよう、お願い申し上げます!よしなに!」
相馬北郷組頭・中橋安彦は、大音声で縁者・先祖に告げて、馬上の人となった。
例年は五百騎を揃える騎馬隊が、今年は八十騎を連ねるのみ。
それでも沿道には三万六千の民が詰めかけた。
苦しい日々の中で集まってくれた人々に応えるかのように、中橋は声を張り上げた。
「沿道の方々に物申す!ただ今、北郷騎馬隊、進軍開始!!」
武者たちは威風堂々と練り歩き、
一刻半ばかりの武者行列を終えた中橋は乗馬とともに自宅へ向かった。
ガレキの山となった、自宅の跡へ。
平成23年(2011)3月11日。大震災に襲われた中橋が急いで帰宅した時には、
自宅は津波に飲み込まれていた。
翌12日、中橋はガレキの下から冷たくなった妻を発見した。
毎年、中橋は妻に具足を着付けてもらっていた。今年は、着付けだけで一時間を要した。
7月22日生まれで
「野馬追のせいで、誕生日を祝ってもらえない」そうムクレつつ、手伝ってくれた妻だった。
震災から数か月後の野馬追参加も、
亡き妻への供養と、自分自身の勇気を取り戻すためのものであった。
「これで一歩踏み出せる。
俺はもう大丈夫だと、どこかで見てくれている妻に、この甲冑姿で伝えたい。」
自宅跡前で黙祷を終えた現代の騎馬武者は、明日へ向けて一歩を踏み出した。
(NHKスペシャル他より、敬称略)
平成27年7月。奥州相馬に、四百五十余の騎馬武者が帰って来た。
コメント一覧
それ女の子だ
ガチで泣けたわ
/"・,, ミミ (・ω・;)っ_/) ≡ =
(。/ ) ミi┬―┬‐'⌒ヾミミミミ彡と,,__,,つ
ノ |_|_____.| " ) ≡ = = -
,( 、 ,,)_.||_彡( ,,ノ = ―
//( ノ." ,ノ.ノ, ( ≡ ==
// \Yフ , '/ い 三 ≡ = ―
くノ " くノ //"三
,.,,, ,.,,, ,,, くノ ,,, , ,.,,,