886 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/05/30(土) 19:03:40 ID:alKXMNjB
薩摩藩の日当山で茶の栽培が始まって暫くのこと、家久(悪)は自国の茶と京の茶の味を飲み比べてみようと思った。思い立ったが吉日なのか、単に堪え性が無いのか、行動力に溢れているのかは分からないが
とにかく家久(悪)はこう言った。
「明日にでも日当山で一番の茶の実を持って参れ!」
これに日当山の百姓達は大変困った。
百姓達は茶を専門にしているわけではなく、他の作物も耕しており
今は麦の収穫の真っ最中だった。
「殿様の仰せに従っていては畑仕事も進みません、何とかしてください」
百姓達に泣きつかれた地頭の徳田太兵衛は、その日のうちに一人の老婆を伴って城を訪れた。
これに家久(悪)は大喜び。
「おお、『明日まで』と言ったのにその日のうちに参るとは忠義者よ。
して太兵衛よ、茶の実は何処じゃ?」
太兵衛は老婆を伴ってきただけなので当然茶の実などあるはずが無い。
だがしれっとこういった。
「はい、これなる老婆こそ、日当山一のちゃのみにございます。」
これには家久も怒って
「馬鹿を申せ、ここに居るみすぼらしい老婆が茶の実なものか」
だが太兵衛は動じない。
「いえいえ、この者こそ「日当山一の茶飲み」でございます。
何せい朝も昼も茶に興じ、この時期も皆が麦の収穫で忙しく、猫の手も借りたいと言うのに
茶ばかり飲んで居るから村の者からつまはじきにされている始末でございまして。」
家久も太兵衛の言わんとすることを察したのか
「あー、わかったわかった。茶飲みなど麦の収穫の後でよいわ。
忙しい時期に無茶を言ってすまなんだな」
と茶の収穫を撤回して太兵衛と老婆を帰らせた。
子供っぽいわがままで領民を困らせた家久(悪)のちょっと悪い話。
コメント一覧
魔人ブウみたいな奴だな
実をどうするつもり?
※3
主に戦国時代板においてだけど、
島津家に家久は2人いて、元祖家久は豪胆で才気あふれる人物だったが、
その甥の家久(悪)は正妻を追放し、放逐先で保護されないよう手を回したりするなど
中々の小物臭い悪人だったため、区別するために家久(悪)などと呼ばれている
家久は小物臭い悪人じゃない
立派な悪人だろ。
父と義父への対応、家老の伊集院一族や平田宗家への粛清
正妻に対する対応が、冷酷かつ徹底的すぎて小悪党ができる所業じゃない。
よく一纏めにされる忠興や政宗に比べると、陰湿で執念深く笑えない
さらに、同じく執念深く謀略に長けた元就や直家に比べると知略に欠ける
詩歌や蹴鞠、茶の湯なども造詣が深いし
政治・軍事・外交も成果をだしてるけどなんだか残念な人。