538: 素敵な旦那様 2005/06/14(火) 13:17:44
1 名前: 恋する名無しさん 投稿日: 2005/06/03(金) 14:37:31
3年前俺は事故で完全に盲目になった当時付き合っていた彼女は、普段は俺が大好きだとか愛してるとかそればかり言っていたくせに
俺が目が見えなくなってしまってから手のひらを返したようにいなくなった
結婚までしようと俺は考えていたので本当にショックだった。俺はその程度だったのかと
それからの生活は一変し、気づけば周りの人達は俺から離れていなくなっていた
はじめは暗闇の中での生活に恐怖を感じていたので周りに気を向けるヒマもなかった
気づいたころには友人とも付き合いはなくなり、
元々仲がいいわけではなかった兄もしょうがなく面倒を見てるといった感じ
そもそもこの事故は前彼女を庇った時に巻き込まれて失明したので、いなくなった前彼女に怒りや憎しみを覚えることすらあった
今思えばその頃は怒りを向けることで一時的にでも自分のことから逃れられていたのでそれが楽だったのかもしれない
しかししばらく時がたつとそれすらも億劫になるようになり、毎日ボーっとするだけの日々をすごすようになった
何かをやろうとしても目が見えないのだから何もすることが出来ない
一人では何ひとつできることがないのある
何度も死んじゃおっか…とも思った
けれどそんな俺にも2人だけ頼れる友人がいた
中学時代からの本当の親友A(男)とB(女)
嫌なことも楽しかったことも色々あったが、目が見えない中そいつらとの楽しかった日々の思い出だけがいつまでも焼きついて離れない
539: 素敵な旦那様 2005/06/14(火) 13:17:58
春 車で500kmも離れた桜の名所まで行って一緒に花見をしたこと夏 新しい水着を買って海にいきスイカ割をし夜はカレーを作りバーベキューをしテントで朝まで語りあったこと
秋 食欲の秋だのなんだの騒ぎつつ食べ歩きをしながら旅をしたこと
冬 スキー板をつんでホテルを予約し朝からナイターまですべり通し巨大雪だるまを作って遊んだこと
もっともっと書きつくせないほどの楽しいことが一杯あった
俺はAがBを好きなのを知っていたのでたまに気を利かせ二人きりにしたりしたが
Aはあとから余計なことすんな、と照れ隠しに言ってきたりもした
去り際Aが小声でサンキュッと言ったりしていたのが耳に残っている
そして4年前俺は一人就職のために地元を離れた
しばらくして俺に彼女が出来たといったらAもBも本当にうれしそうにお祝いのメールを送ってくれたこともあった
幸せの最高期とでもいうのだろうか?それくらい毎日が充実していた
しかしその1年後全てが…壊れた……
540: 素敵な旦那様 2005/06/14(火) 13:18:17
仕事もクビになり地元に戻ってきた俺をそれでも暖かく迎えてくれたAとB目が見えなくなった時も気分は半分冷めていたのだがこの時ばかりは号泣してしまった
そして月日は立ち2年前のある日俺はAと居酒屋で飲んでいた時に酔ったAがポロッと口を滑らせた
「Bはお前(俺)が就職して地元を去ってからも毎日お前を思っていた」と
Aが言うにはさらに前からBは俺のことが好きだったらしい
それを知っていたからAはBが好きでも告白をしなかったのだと俺は知った
そして俺のことが好きでありながら俺に彼女が出来た時に自分のことのように本当に喜んでくれていたB
「まぁ、俺はお前ならいいと思っていたからな…」
と、Aにも言われ俺は泣いてしまった
そして数ヵ月後Bに告白され付き合うことになった
完全に盲目の俺と付き合うことは並大抵のことではなかったと思う
色々と迷惑もかけ、それでも俺のことを好きだと言ってくれたB
1年前に俺はBと結婚した
結婚式の参列者はAだけの3人での結婚式
綺麗なドレスも豪華な食事も何も無い指輪の交換だけのささやかな結婚式であったが
俺達はそれだけでも世界で一番幸せな結婚式であったと胸を張って言える
キスしろキスしろと二人をひやかすAであったが、仮にも自分が本当に好きであった女を取られるのである
悔しくないわけがない
俺は心の中でAに感謝しながらBに口付けをした
その時わずかにAの嗚咽が聞こえた気がしたが俺は聞こえない振りをした
そして念願の子供を授かる
子供の顔を見れないのが残念といえば残念だが、いてくれるだけで俺には十分だった
しかし幸せも束の間、1ヶ月後に急にBが倒れ病院に運ばれた
結果は原因不明の重態、数々の治療を試みるもその3週間後に亡くなった
その後、俺は角膜の移植手術を受けた
Bが亡くなる前にもしものことがあったらと伝えておいたらしい
541: 素敵な旦那様 2005/06/14(火) 13:18:31
今俺の目にはBの角膜が生きている光を見ることができる
それを目が見えない間も取り続けた写真を今見ながら感じている
写真の中にはぎこちなく笑う俺と満面の笑みを浮かべたBが並んで写っていた
そして何よりも…愛するわが子の顔、仕草を見ることができ自らの意思で抱きしめてあげることが出来た……
まだBの死を割り切ることは出来ない
夜も一人で泣いてしまうこともある
そんな簡単に割り切ることは絶対に出来ないけど
いつか笑顔で笑える日がくるように俺は強くなろうと思う
目の前の一つだけの笑顔を絶対に守り切れるように
コメント一覧
お前、疲れてないか?
ちょっとでも疑った自分が恥ずかしいっす。
不公平過ぎるだろ。
気の毒とは思うけどさ
多臓器不全とか虚血性心疾患とか
本当でどうすんだよこんな話
角膜移植で回復するような失明ってそんなにないと思うが。
現実なら強く生きてほしい。
とりあえず、現実には自分が全く予想出来ないことが次々と起こるもんだから創作と一概には言えないでしょ。