562 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/07/17(金) 17:55:25 ID:HfDst8v3
ある日のこと、家久(悪)は大変機嫌が悪かった。お気に入りの焼物が何者かに壊されていたからである。
家久(悪)は酒も茶も和歌も蹴鞠も好きだが、何を隠そう骨董品の鑑賞も趣味だったのだ。
わけても佐賀藩鍋島家から贈られた唐代の牛の焼物は、大のお気に入りだったのだが…
今となっては、見るも無残な姿を晒すばかりであった。
「一体誰だ!壊した奴は!」
誰だって支配者の逆鱗には触れたくない。相手が家久(悪)なら尚更である。
自白する者など居る筈も無かった。
不機嫌極まりない家久(悪)と、それに脅える近臣たち。
不穏な空気の立ち込める鶴丸城を一人の男が訪れた。
剛勇を以って鳴る、中馬大蔵重方である。
「なに、大蔵が。」家久(悪)は顔をしかめた。
家臣の統制を引き締めたい家久(悪)にとって、義弘の家臣というよりも
戦友のような存在であった大蔵は正直煙たかったのである。
とはいえ功臣を無碍に扱うわけにもいかない。
「よし会おう。ここへ通せ。」
家久(悪)の下へ通された大蔵、最初はのほほんと世間話などしていたが、
いつしか話題は例の焼物の件になる。
大蔵「いやあ、しかし殿も災難ですな。」
家久「全くじゃ。あれを見い。
尻を壊されなんとも情けない姿をしておるではないか」
大蔵「はあ。」
家久「あの焼物を見ながら茶を飲まないと、わしの一日は始まらないというのに…
おかげで政道に身は入らぬわ、蹴鞠の技の冴えも和歌の出来栄えも今ひとつじゃ」
大蔵「それはいつもの事でしょう」
家久「何か言ったか。」
大蔵「いえ何も。
しかし殿がご政道に身が入らぬは、我ら家臣も領民にとっても不幸なことでござる。
薩藩77万石を窮地に陥れた下手人には厳罰を与えねばなりますまい」
家久「おうよ。下手人め、見つけた暁にはわし自ら首をはねてくれるわ」
ひい、と青ざめる群臣一同。それを尻目に大蔵は
「殿の手を煩わせるに及ばず。ここは某にお任せを」
言うが早いか例の牛の焼物をむずと掴み、庭先に出て…庭石に叩き付けた!
これには一同呆然、家久(悪)に至っては卒倒しそうになるのを
堪えるのがやっとである。
家久「ちょ、大蔵…お前自分が何をしたか分かって…」
大蔵「は!某、殿に醜き尻を向ける無礼な牛を成敗して御座る!
焼物の分際で、壊れた尻を殿に向けるなど、
人間で言えば褌も付けぬ尻を向けるようなもの。
手討ちでは飽き足らぬであろうと、粉々にしてやりました!
いやいや、殿もあの無礼な牛には悩まされたことでしょうが、今後は心配ありませんぞ!
(凄くいい笑顔で)」
さすがの家久(悪)も毒気を抜かれたか、焼物を割った者の罪は不問に処す事にしたという。
コメント一覧
子供が命乞いしたら敵将も解き放つタイプだろう
家久(悪)って書かれるとどうしても魔人ブウみたいに
(善)から分離したのを想像してしまうんだ
まで見えました
突然現れた「義弘」という人名。
読み飛ばしたかと思ってそこまで数回読み返してみたけど、「義弘」は出てこなかった。
結局、「家久(悪)」と「義弘」と「大蔵」はどういう関係なのか?
歴史に無知なのを人のせいにするな。
ノンフィクションじゃないんだから、知りたきゃ調べりゃいいじゃん。
ノンフィクションじゃないんだから→ノンフィクションなんだから
島津の人名なんぞ知らなくても不思議はない
それを無知とか馬鹿かおまえは