14 :1/3:2008/11/18(火) 03:34:50 ID:C3H+yOJL0
怖いというか奇妙と言うかそんな感じの話をひとつ。先に言っておくと長文スマソ 母方の実家と言うのが本当に山間の田舎で、今でこそ普通のド田舎だが十五年ほど前までは、わらぶき屋根の家々が普通に現役だった。
地形的に見ても、村と言うよりは山間の集落みたいなもんで、海へと続く山道に沿って自然と家が集まったみたいな感じの場所だった。
そんな場所だからだろうか、昔話と言うか伝承と言うか、そう言った類のものには昔から事欠かず、当時はまだ現役だった囲炉裏端で爺さんが話して聞かせてくれる胡散臭い話の数々は、
その頃、まだ小学生になったばかりの俺や五つ上の兄にとってはそれらはまさしく『水木しげるの世界』 のようなもので、夏休みや年末年始に訪れるのをとても楽しみにしていた事を今でも覚えている。
夏休みのある日、毎年のように田舎に遊びに来ていた俺と兄は、これまた毎年の恒例となっていた
『家中探検』に夢中だった。一年ごとでそんなに目まぐるしく変わるわけなど無かったのだが、それでも『本場の』田舎の物珍しさからか、きゃっきゃと騒ぎながら家の中や周囲を見て周るのは非常に楽しかった。
15 :2/3:2008/11/18(火) 03:35:50 ID:C3H+yOJL0
あらかた探索を終えた俺と兄は、すっかり疲れ果て、家の中でも比較的涼しい仏間の畳の上で大の字になって寝転びながら、家から持ってきた漫画なんぞを読んでいたわけだが、暫くすると、ふと兄が何かに気づいたように身体を起こした。 「兄ちゃん、どうした?」
俺が声をかけると兄は「静かに」と俺を制する。
何事かと思っていると、俺の耳に「がらがらがら」と妙な音が響いてきた。思わずドキっとしてお互いに顔を見合わせる。
兄が「聞こえたか?」と尋ねるので俺も「うん、聞こえた」と答える。するとまたどこからか「がらがらがら がっちゃん がらがらがら がっちゃん」とそんな感じの奇妙な音。
気になって音のする方を探してみると、それは部屋向こうの縁側の方向から聞こえてきた。
和風ガラス戸をそっと開けると、そこには縁側が、通路のように伸びていた。
俺たちのいる仏間はその端のほうにあり、眺めてみると向こう端の方になにやら、使っていないであろう何かにシートがかけられていて、その上に荷物が山の様に積まれていた。そして、
「がらがらがら がっちゃん がらがらがら がっちゃん」
くだんの音は、その荷物の山の中から聞こえてきていた。俺と兄はびっくりして、婆ちゃんと両親が談笑している部屋に飛んで行って「ば、婆ちゃん! 縁側に何かいる! 何かいる!」と、泣きついた。
両親――特に、父親は怪訝そうな目で俺たち兄弟を見ていたが、婆ちゃんはニコニコしながら「ほんならどこやの?」と、俺たちを促す。俺たちはビクビクしながらも、両親と婆ちゃんを音のした場所に案内した。
16 :3/3:2008/11/18(火) 03:36:59 ID:C3H+yOJL0
荷物の前まで来ると婆ちゃんは何やら訳知り顔でうんうんと頷いている。 何でも「そんな怖いものではないよ」との事らしい。だけど、俺たちが余りにも怖がるものだから親父に頼んで、積んである荷物をどけ、かかっていたシートを剥がすと中身を見せてくれた。
すると、それは、古い足踏み式のミシンだった。
何でも、昔はよくつかっていたのだが、電気ミシンを買ってから流石に使わなくなったので、ここに置いておいたらしい。
「こんな音やったやろ?」婆ちゃんはそう言って、椅子を引き出し腰掛けると、ペダルをぐいと踏み込む
すると響き渡る「がらがらがら がっちゃん がらがらがら がっちゃん」と例の音。
「久しぶりに○(俺の名前だ)くんらが来たからなあ……嬉しがってるんやろ。気にせんでええよ」
嬉しがってるって何がだ? とは聞けずに、俺と兄はシートをかけられ荷物を乗せられてゆく古い古いミシンを、ぼんやりと眺めていた。
ちなみにそれからも時折、例の音は聞こえたが、すっかり怯えきった俺と兄は、一度も縁側に近づくことは無かった。
……とまあ、そんな与太話
25 :14-16:2008/11/18(火) 21:20:47 ID:C3H+yOJL0
のんのん婆てか、まさにそんな場所だったな 家にも山にも川にも、変な話がごろごろ転がってた
川をのぼってく灯りとか、座敷に出るモンとか、上がったらあかん二階部屋とか、怖いような奇妙なようなそんな感じ
ちなみに、ミシンはもう無い
婆ちゃん曰く「いなくなってもたよ」らしいが、居なくなったて……居なくなったて?
1 :14-16:2008/11/18(火) 23:39:58 ID:C3H+yOJL0
まあ、無くなった当時は婆ちゃんも少しからかってる節があったから、アレなんだろうが 俺が「え、ミシン棄てたんじゃないのか?」と聞いても、「居なくなってもたよ」とニコニコしながら答えるんだ
大学に上がった頃……7年くらい前かにふと思い出して聞いたこともあるんだ。
「そう言えば~~の時の足踏みミシンって結局、どうなったん?」
婆ちゃんはしんみりと言うんだよな
「あれはねえ、居なくなってもたんよ」
棄てたんだよな、棄てたんだよな婆ちゃん?
コメント一覧
大切に使われていたミシンなんだろうね
害がないのならいくらでも出てきてほしい
気のいい兄ちゃんだった
俺も似たような経験があるが最後には冗談だと言わないと傷を残すよ。
俺の場合は22年の傷となり、去年冗談だと知ったがもう手遅れだ
お前のそれとこの話は違うだろ
どこにもトラウマになったなんて書いてないしな
お前ほどじゃないよとか言われたいのかな
嫌な話にするコメの方々はすごいと思うw
うちのとうに亡くなったひいばあちゃんは、人間でも物でも「なくなった」ことを「のおなった」って言ってたし。
お前は何がいいたいの?
慰めてほしいの?
何されたか言わずに慰めると思うなよ
物を大事にしろって話なんだから。
豚を飼う⇒殺して食べる、っていうことをやってるどこかの小学校が
非難も受けてるけどあれはあれでトラウマになるくらいでいいと思う。
少なくともそんなことをやって自分が生きてるってこと、自分の一部になってることが
刻み込まれたら安易に生き物を殺したり死のうと思ったりはしないでしょ。
もちろん周りの大人の正しいケアがあってのことだが。
多様性の表れといえば聞こえが良いが
要は野暮な人間が増えたと言う事だ
ことじゃないかなあ、とか思ってみたり。
ただ捨てたんじゃないと思いたいね。
今さらかもだけど、つくもがみって読みます。
なんでも、九十九年形を保ち続けた器物が化けたもの(でいいのかな?)のことをそう呼ぶみたいです。
「つくも」って入力すると予測変換に「九十九」ってでると思うよ。
不思議ってものの中には、そんな部分もある。