心を鬼にして鬼探し

コピペ投稿者:名無しさん  投稿者ID:ZEjy2NiH
コピペ投稿日時:
397 :1/4:2009/12/28(月) 20:11:17 ID:f6IWiyPa0
鬼になった人の話


文政十二年(1829年)、6月8日のこと。遠野南部藩からの命令で、この町で山狩りが行われた
これは館野武石衛門という猟師がリーダーとなり、辺り一帯の村や町に住む武士や町人、
農民までもが駆り出された大規模なものであった

この山狩りの目的は鬼退治であった

昔、南部藩はいくつかの「小」南部藩に分かれており、遠野はその小南部藩の城下町として栄えていた
ここにとある武士(一説によるとこの武士は南部公の叔父にあたる人だったというから、
この人も南部の姓を持つ由緒正しき侍であったことには違いない)がいた

この武士はある日、何の故があったのかわからないが発狂してしまい、
刀を抜いては人に切りつけるようになった。藩主はこれに困り、彼に閉門を申し付けたが、
それを逃げ出して山中に逃げ込んだのだという

そして山から山を渡り歩くうちにいつしか完全に理性を失った彼は、時々思い出したように里に下りては
誰彼構わず人に斬りつける「鬼」になってしまったのだという
何しろ狂人であるからその行動は全く予想がつかず、人々はただただ恐怖に震えるしかなかった


398 :2/4:2009/12/28(月) 20:12:00 ID:f6IWiyPa0
その武士があるとき、確かな情報筋によって俺の町のとある山に逃げ込んだという情報が入った
この情報が遠野南部藩に上申された結果、南部公から彼の討ち取り命令が下った

その陣頭指揮を執るように南部公から直々に命令されたのが館野武石衛門だった

彼は村一番に名を轟かせた狩人で、豊かな体躯と豊富な経験、山の獣相手に培った胆力があった
武石衛門は火縄銃の達人でもあり、南部公から武士の位を賜ったほどの剛の者だった
しかし、今回の的は鬼だった。さすがの彼も、この名誉の仕事が成功するかは五分五分であった

彼は山狩りの直前、手に手に有り合わせの武器を持った山狩り要員に対し、檄を飛ばした

「皆様ご苦労であった。しっかり気をつけなくてはならない。もし刃向かってきたならば、
しっかりしなくては危ないぞ。いくら狂人と言えども武芸の達人であるから、逃がしてはならない。
俺は一発で仕留めるつもりだが、もし射損じると、お殿様に申し訳が立たぬ。皆もしっかり頼む」

この檄をしおに、いよいよ山狩りが始まった


400 :3/4:2009/12/28(月) 20:30:50 ID:f6IWiyPa0
山狩りが開始されてすぐ、件の武士が発見されたという情報が武石衛門の下に届いた
我が町の陣が沢というところに、畳石という巨石があったのだが、この上は名前の通り平らで、
その上で発見されたのだという。武石衛門は一同を引き連れ、この畳石に来た

畳石に近づくと、確かに石の上に人影があった。しかし、その姿は人間というにはあまりにも凄惨なものであった

狂人の髪は伸び放題になり、上等な着物は見る影もなくボロボロになって体に張り付いていた
髭もぼうぼうに伸び、目だけが爛々と光り輝いていた。彼は畳石の上で、どこから捕まえてきたのか、
蛇を捕まえてガリガリと噛り付いていた。その姿はまさに悪鬼そのものの姿であったという

皆が狂人侍の姿に恐れおののく中で、武石衛門は先頭を切って畳石に近づいていった
そして何とか火縄銃が届く距離まで近づいた武石衛門は、静かに火縄銃を構えると、引き金を絞った

「誰か! 無礼な!」

狂人侍が発したのはその一言だけだったという。武石衛門が放った銃弾は一発で侍に命中し、
侍は仰向けによろけると、そのまま倒れて動かなくなった

勝鬨の声を上げて狂人侍に近づくと、全員が絶句してしまった。見れば、この侍は天を衝くような大男で、
筋骨隆々の体はすでに人間の域のそれではなかったという。彼は山から山へ逃げるうちに、
いつしか完全に人間ではなくなっていてしまったのだろう


401 :4/4:2009/12/28(月) 20:31:52 ID:f6IWiyPa0
ともかく、この悪鬼を討ち取った武石衛門は、このことをすぐさま南部公に報告し、山狩りは終了した

この狂人侍はさすがに罪を重ねすぎていたためか、家中の墓に葬られるわけには行かなかったらしく、
農民たちの手によって、日陰というところの山の麓に手厚く葬られた
この侍の供養碑には『忠山了儀居士』と記された。正気を失った武士への、せめてもの手向けであった

後に、住民たちはこの侍のために念仏塔を拵え、この侍の冥福を祈願した
この念仏塔とは車仏というもので、卒塔婆に車輪がついたもので、これをクルクル回して
個人の速やかな輪廻転生を祈願するものである

人々は折々、この車仏の車輪を回して、侍の霊を手厚く弔った

この侍の霊は、現在も近隣住民によってお盆に供養されているという
この侍の墓も残っているが、風雨で風化したのか、『忠山了儀居士』の文字を読み取ることはできない





書き方のせいで創作っぽくなったが、一応我が町の正真正銘の歴史だ
このスレの本義からは離れるかも知れんが、一応歴史に登場した鬼ということで書いて見たわ
人間が鬼になるというのは割かしこういう理由からなのかも知れん
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コメント一覧

1  名前::2016/08/24(水) 22:25:25  ID:yBN3vxt7 スマートフォンからの投稿
あたし性善説信じてるから
渡る世間に鬼はないと思う
0 イイ!コメント
2  名前::2016/08/24(水) 22:51:18  ID:WAMuhHpk スマートフォンからの投稿
狂人武士「ウグッ…ガハッ…コロシテ……クレ…メンス」
4 イイ!コメント
3  名前::2016/08/24(水) 23:33:41  ID:qlA8Hthp 携帯からの投稿
※2
お前あれだろ、ずっとべらべらしゃべってなかなか死なないあれだろ
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4  名前::2016/08/24(水) 23:53:16  ID:QTu5ZQvq PCからの投稿
竜騎士「おれは しょうきに もどった!」
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5  名前::2016/08/25(木) 00:02:15  ID:UMNAbAHh PCからの投稿
雨月物語の「青頭巾」も、合わせてお読みくだしあ
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6  名前::2016/08/25(木) 04:16:26  ID:HXBpwJ+c スマートフォンからの投稿
鬼さんに何があったんやろね
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7  名前::2016/08/25(木) 08:10:26  ID:Oa7hKMf2 スマートフォンからの投稿
刀って手入れしないとすぐボロボロになるんですがそれは
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8  名前::2016/08/25(木) 08:42:15  ID:BGwv0NkB スマートフォンからの投稿
設定がグダグダ
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9  名前::2016/08/25(木) 09:13:31  ID:lnh14Eei スマートフォンからの投稿
米7 ボロボロの刀でも人を殺すには十分だと思うよ。
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10  名前::2016/08/25(木) 14:51:44  ID:xW/DfVui PCからの投稿
ボロボロだと切れ味悪 かったな、刀。
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11  名前::2016/08/25(木) 20:06:59  ID:UMNAbAHh PCからの投稿
切断面はズタズタになり、肉は引き攣れ、筋は引き千切られる
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12  名前::2016/08/26(金) 07:06:57  ID:oRMZc0hE PCからの投稿
長いわりに大したことない話だった
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