コピペ運動会

数年前、都心から地方へ行く私鉄に俺は乗っていた。夕方のかなり混み合う時間で車内は満席だった。そこへ18･9の女の子4人組が乗ってきた。席が空いてないことに気付くと4人は俺の周りに立ち、話を始めた。しかもその4人の中でも一番デブでブスな女が俺の前に立つもんだから、さしてうるさくもない話し声に俺はイライラしちまったんだ。



そのデブ達は電車が発車すると静かにしていたんだが、問題のデブスだけは何故か駅に着く度キョロキョロ周りを見回してた。俺は『なんだよ…やっぱデブだから立つのがツライのか？なら痩せろよケッ！』とか思いながら寝たふりしてたのよ。そして三つ目の駅が過ぎ俺の隣の隣の席が空いた時、なんとデブが持っていた真っ赤なコートをぶん投げてその席をキープ!!周りみんな呆気にとられてデブスを見てた。『なんだよコイツ！マジで馬鹿じゃねえ!?そんなに座りたいかよ!?デブでブスのくせに！』俺はいらいらしながらその席を見ていると、座ったのはお腹の大きな妊婦さん。満員電車の中お腹を圧迫しないようにデブが体を張って守りながらドア付近から連れてきてた。妊婦さんは涙目になりながら『ありがとうございます』って言ってるし、デブは旦那さんまでも妊婦さんのそばに連れてきてるし。俺自分が恥ずかしくなった。



実はデブ達が乗ってきたすぐ後にその妊婦さんが乗ってきて席を探してたの俺は知ってたんだ。ちなみに俺が座ってたのは優先席。本当は譲らなきゃいけないのは俺だったんだけど、俺はその時自分が良ければ他人なんてどうでもよかった。そのくせデブス女をデブだからと蔑んで嫌悪してた。デブでブスなのは俺の心とマナーで、デブス女は見掛けはアレでも中身はすっげえ美人なんだってことに初めて気付いた。



妊婦さんと旦那さんは降りる時デブに何度もお礼を言っていた。でもデブは『お大事に』と爽やかに笑って手を振っただけだったよ。めちゃくちゃかっこ良かった。俺はそれからあのデブのように人に優しくするように心掛けてる。まーようするに何が言いたいかってと、デブスってだけで人を判断しちゃいけないってことだな。