いつからか祖父が灯油を買いに行くようになった。
農業に一生を捧げた無口で朴訥とした人間で、体が弱くなってからは
あまり外に出たがらなくなっていたので家族は驚いた。
それまでは母が車でガソリンスタンドへ赴いていたのだが、手間が省けたと昼頃に
ふと思い出したようにポリタンクをキャスターに載せて家を出る祖父を見送った。
しかしそれから暫くして、母が父にぼやくのを聞いた。
「お義父さんいつもお金を多く請求するの。『少しくらいならいいじゃないか』って
うちだって切り詰めてやってるんだから。」
父は苦笑いしていた。
冬も終わろうかという或る日、トイレから戻ると祖父が俺の部屋にいた。
遂にボケたのかと思い、出て行けと強く怒鳴った。
萎縮して小さくなった背中に軽蔑と憎悪の視線を突き刺しながら言った、小汚い守銭奴め。
祖父は一言も口にすることなく部屋を出た。
その日以来、僅かながらも半ば義務的に繋がっていた祖父との関係は断絶した。
そこにいてそこにいない人だった。
いつかの自分を重ねてしまい、誰に対するわけでもない悪態をついた。
5月に祖父が亡くなった。
何事もなく眠り、眠ったまま、眠るように亡くなった。
悲しみは無かった。
そこにいなかった人間がいなくなっただけなのだから、当たり前だ。
祖父の遺品に新品のスーツがあったそうだ。
大切に保管されていたそれは父でもなく祖父でもなく、24歳の俺にピッタリのサイズだった。
いつからだろうか、一切を放棄することで全てを諦め、他人の前に姿を見せなくなり始めたのは。
些細なことがきっかけだった高校時代のイジメが原因かもしれないし、日中から家に居ることを
ただ責めた両親の鈍感が原因かもしれない。
けれど本当はわかっていた。
誰の所為でもないと。
このままではいけないと。
祖父は知っていた。
焦燥を、苛立ちを、無力感を。
シワ一つない真っさらなスーツは、無口で朴訥とした、不器用な祖父なりの精一杯だった。
必死で貯めたお金、訊けなかった寸法、渡せなかった答え。
泣くのは違う気がした。
明日、これを着て一歩踏み出すことにした。
農業に一生を捧げた無口で朴訥とした人間で、体が弱くなってからは
あまり外に出たがらなくなっていたので家族は驚いた。
それまでは母が車でガソリンスタンドへ赴いていたのだが、手間が省けたと昼頃に
ふと思い出したようにポリタンクをキャスターに載せて家を出る祖父を見送った。
しかしそれから暫くして、母が父にぼやくのを聞いた。
「お義父さんいつもお金を多く請求するの。『少しくらいならいいじゃないか』って
うちだって切り詰めてやってるんだから。」
父は苦笑いしていた。
冬も終わろうかという或る日、トイレから戻ると祖父が俺の部屋にいた。
遂にボケたのかと思い、出て行けと強く怒鳴った。
萎縮して小さくなった背中に軽蔑と憎悪の視線を突き刺しながら言った、小汚い守銭奴め。
祖父は一言も口にすることなく部屋を出た。
その日以来、僅かながらも半ば義務的に繋がっていた祖父との関係は断絶した。
そこにいてそこにいない人だった。
いつかの自分を重ねてしまい、誰に対するわけでもない悪態をついた。
5月に祖父が亡くなった。
何事もなく眠り、眠ったまま、眠るように亡くなった。
悲しみは無かった。
そこにいなかった人間がいなくなっただけなのだから、当たり前だ。
祖父の遺品に新品のスーツがあったそうだ。
大切に保管されていたそれは父でもなく祖父でもなく、24歳の俺にピッタリのサイズだった。
いつからだろうか、一切を放棄することで全てを諦め、他人の前に姿を見せなくなり始めたのは。
些細なことがきっかけだった高校時代のイジメが原因かもしれないし、日中から家に居ることを
ただ責めた両親の鈍感が原因かもしれない。
けれど本当はわかっていた。
誰の所為でもないと。
このままではいけないと。
祖父は知っていた。
焦燥を、苛立ちを、無力感を。
シワ一つない真っさらなスーツは、無口で朴訥とした、不器用な祖父なりの精一杯だった。
必死で貯めたお金、訊けなかった寸法、渡せなかった答え。
泣くのは違う気がした。
明日、これを着て一歩踏み出すことにした。
コメント一覧
年金は鬼嫁に取り上げられてたのかな…
こんな屑でも孫はかわいいんだね…
悪態つくとか何様って感じ。おじいちゃんとか親とかに怒鳴る人大ッ嫌いだぷ〜!!
なんとなくじーちゃん嫌いだったけど、よく考えたら
初孫だからすごく可愛がってもらってたんだ、俺。
もうじーちゃんいないけど、今すごく謝りたい。じーちゃんごめん。
分かった時はもう遅かったりするもんだ
俺もじぃちゃんと血の繋がらない妹が欲しいよ。
じいちゃんがつくってくれた姉で良いのか?
じーちゃん器用だな。
だってじいちゃんなんだもん
これをコピペしなかったのはわざとか?
文体のせいで創作な気がしちゃう
だけどじいちゃんが亡くなった中3の時、一人声を潜めてすごく泣いたのを思い出した。
小さい時将棋で遊んだことを、好きな野球の話をしたことを思い出した、けどもう会えない、いつもいた場所にはもういない。
こういうのが頭にふっとよぎって涙が溢れ出した、嫌いだったけどどっかで好きだったりしたのかな。
人の死ってのはやなもんだ。
スーツ一式にじいさんの気持ちも入れてやれ
バカなおかんにベッタリでじいさん、ばあさんの悪口聞いて育ったんだろか。
カーチャン好きは良いけどある程度客観視しないとなー
乱文スマソ チラ裏だな
なるほど、投稿時間か
本気で言ってるんじゃないんだろ?
もう少し面白い事言えよ。
コイツはじいちゃんの気遣いをつかっていい話に
仕立て上げようとしてるだけだろ。
さっさと働いてたらただの日常でやりすごせた
卑屈なのって一部なんだな
米26は、真っ昼間かラノベもどきを投稿してるから、作者の実話じゃねえの?ってことだよ。多分
分かった?
ごめーん
ぜんぜんわかんなーい
名前:名無し物書き@推敲中?
ぜんぜんわかんなーい
名前:名無し物書き@推敲中?
ごめーん
ぜんぜんわかんなーい
名前:名無し物書き@推敲中?
ごめーん
ぜんぜんわかんなーい
名前:名無し物書き@推敲中?
ごめーん
ぜんぜんわかんなーい
名前:名無し物書き@推敲中?
連呼ウザス
二回まででおk
でも大事なことじゃないのでやっぱり書かないでおk
文中に謝罪の気持ちを入れろ
泣くのは違うとか踏み出すとかかっこよく自己完結してんな
無理矢理いい話に仕立て上げただけにしか見えない
おじいちゃんがかわいそう
家族や自分より弱いヤツにしか威張れない生きる価値もねークズが。胸クソ
それを両親が悪いって…
コイツただのクズじゃん
一番尊敬してる
だからこそ母親だけは、言動に注意深くなって欲しいな。