土蔵の狸

コピペ投稿者:komm  投稿者ID:2ZOlEjo3
コピペ投稿日時:
260 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/:2015/08/30(日) 03:53:07.69 ID:AgCPeYID0.net

【74話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『土蔵の狸』

知り合いの話。
彼の実家には古くて立派な蔵があるそうだ。
これは、彼がまだ幼い頃のこと。

夜中、祖母が蔵の横を通り過ぎると、中から人の気配がした。
「誰か中にいる?」と問うたところ、「すいませんっ」と慌てた声が返ってきた。
同時にバタバタッと、何か暴れるような大きな音がする。
取りあえず中を確認しようと扉を見ると、閂も鍵も掛かったままだった。
「泥棒だ!」と動転した祖母は、急いで他の家人を呼び集めた。
数を頼みに中を確認してみたが、蔵の中には誰もいなかった。
ただ、綺麗に積んであった筈の荷物が、至る所で崩れていたという。
人が隠れられるような場所もなく、出て行けるような箇所もない。
家人たちは口々に不思議だと言い合った。

ただ祖父だけは笑ってこう言った。
「大方、裏山の狸の類いが悪さしに来てたんだろう。
 昔はウチまで下りてきちゃあ、騒いでたモンだ」
まだ幼かった知り合いは、
「え?あの蔵の中にドラえもんがいたの!?」と叫んだ。
彼にとって狸から連想できるものは、ドラえもんしかなかったらしい。
家族皆に大笑いされたそうだ。
「アンタのおかげで、怖くなくなったよ」
祖母がそう言って頭を撫でてくれたのが、子供心に嬉しかったそうだ。
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